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丘の上歯科醫院

院長:内藤 洋平

〒458-0925
名古屋市緑区桶狭間1910
TEL:052-627-0921

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歯科コラム

根管治療後に被せ物は必要?その理由を解説

根管治療は、「歯の根っこ」の中にある神経や血管が通る根管を清掃・消毒し、無菌状態にして薬剤を詰める、非常に重要な治療です。この治療によって、これまで激しい痛みを伴っていた重度の虫歯や歯の炎症が治まり、歯を残すことができるようになります。しかし、治療が終わりホッとしたのも束の間、歯科医師から「この歯には被せ物(クラウン)が必要です」と説明を受け、「なぜ治療が終わったのに、さらに被せ物が必要なのか?」「高額な自費診療になるのではないか?」と疑問や不安を感じる方も少なくありません。私自身、多くの歯科医院を取材する中で、この質問を患者さんから頻繁に受けると聞きました。ここで、根管治療を成功に導き、その歯を何十年も長持ちさせるために、なぜ被せ物が「必須」なのかを、その科学的な理由と、被せ物を選び間違えた場合の深刻なリスク、そして後悔しないための具体的な選び方まで、専門家の視点から徹底的に解説していきます。この解説を読むことで、治療の必要性を心から理解し、納得して次のステップに進むことができるはずです。

 


目次

1. 根管治療後に被せ物が必要な理由
2. クラウンの種類と選び方
3. 被せ物をしない場合のリスクとは?
4. どのくらいの期間で装着するべき?
5. 保険適用される被せ物の種類
6. セラミックと金属、どちらがいい?
7. 長持ちさせるためのメンテナンス方法
8. 被せ物の費用相場と選び方
9. 治療後のトラブルを防ぐコツ
10. 歯科医院選びのポイントとは?


 

1. 根管治療後に被せ物が必要な理由

根管治療を終えた歯は、実は非常に脆く、弱っている状態にあるという事実をご存知でしょうか。
被せ物(クラウン)をせずに放置することは、まるで「屋根のない家」に住み続けるようなもの。少しずつダメージが蓄積し、最終的に取り返しのつかない事態を招きます。

なぜ治療後の歯は脆くなるのか?

治療の過程で、歯には以下の避けられない2つの変化が生じます。

  • 構造的な変化(薄くなる)
    虫歯や根管の入り口を削るため、歯自体が土台のように細く薄くなり、天然歯の弾力性が失われます。
  • 生物学的な変化(乾燥する)
    神経(歯髄)がなくなることで栄養や水分が届かなくなり、「枯れ木」のように柔軟性を失います。

この状態で食事の複雑な力がかかると、薄くなった歯に負荷が集中し、「歯根破折(歯が割れる)」のリスクが飛躍的に高まります。これは抜歯以外に手がない深刻なトラブルです。

被せ物が果たす「ヘルメット」と「蓋」の役割

被せ物は、この割れるリスクを最小限に抑えるために必須の処置です。

  • ヘルメットの役割:歯全体をすっぽり覆い、噛む力を均等に分散させて破折を防ぐ
  • 蓋の役割:隙間なく密閉し、細菌の再侵入を徹底的に防ぐ

この二重の保護こそが、根管治療の成功を持続させるための鍵なのです。

根管治療後の歯の状態 被せ物(クラウン)の保護機能 リスクの予防効果
歯質の大幅な減少 残った歯全体を覆い、咀嚼圧を均等に分散 歯根破折(歯の割れ)の予防
歯髄除去による脆化 外部からの衝撃や力の集中を物理的に防御 欠けやヒビの発生の抑制
根管への細菌再侵入リスク 精密に適合した「蓋」として根管内を密閉 根尖性歯周炎(再発)の予防

 

関連記事はこちら:矯正治療を始める前に知っておくべき全てのこと

2. クラウンの種類と選び方

被せ物(クラウン)選びは、見た目や耐久性、費用を左右する重要なプロセスです。
単なる「保険か自費か」ではなく、「歯の場所(前歯か奥歯か)」や「ライフスタイル(歯ぎしりや審美要望)」に基づき、論理的に決定する必要があります。

主な3つの素材とその特徴

素材は大きく「金属」「セラミック」「レジン(プラスチック)」に分かれますが、万能な素材は存在しません。

  • 金属:強度は高いが、見た目が悪く、金属アレルギーや歯茎の変色(メタルタトゥー)のリスクがある。
  • セラミック:天然歯のように美しいが、強い衝撃には弱い特性がある。

「安さ」や「見た目」だけで選ばない

多くの患者さんは「適合性」や「清掃性」といった、歯の寿命に直結する要素を見落としがちです。
例えば、歯ぎしりが強い方には強度のある「ジルコニア」を推奨するなど、個別のリスクに合わせた素材選びが極めて重要です。

二次虫歯のリスクと接着性

素材によって、被せ物の下で虫歯が再発するリスクも変わります。

  • セラミック:歯と強力に一体化するため、細菌が入る隙間ができにくい。
  • 保険(金属・レジン):接着力に限界があり、時間の経過で隙間ができやすいため、メンテナンスがより重要。
クラウンの主な種類 メリット(強み) デメリット(注意点)
オールセラミック 天然歯に最も近く審美性に優れる。変色しない。 保険適用外で高価。強い衝撃で稀に欠けることがある。
ジルコニア 極めて高い強度で奥歯に適する。金属アレルギーの心配がない。 硬すぎるため、対合歯(噛み合う相手の歯)を傷つける可能性がある。
金銀パラジウム合金(保険) 保険適用で安価。適度な柔軟性があり、割れにくい。 金属色で目立つ。金属イオン溶出によるアレルギーや歯茎変色リスク。

 

3. 被せ物をしない場合のリスクとは?

根管治療完了後、被せ物(最終的な修復物)の装着を先延ばしにしたり、費用を抑えるために小さな詰め物だけで済ませようとしたりするケースは少なくありません。

しかし、これはお口の中に「時限爆弾」を抱えているようなものです。根管治療の成功とは、根管内の無菌状態を長期的に維持することに他なりません。被せ物をしないことは、この成功を自ら放棄することに等しい行為と言えます。

最も深刻なリスク:歯根破折(歯が割れる)

神経を抜いた歯は乾燥してもろくなっており、非常に繊細な状態です。以下のような日常的な負荷によって、根元から縦にヒビが入り、最終的に破折に至る危険性があります。

  • 食事で硬いものを噛んだ瞬間

  • 無意識の歯ぎしりや食いしばり

亀裂が根の奥深くまで達した場合、歯を残す手段はほぼなくなり、「抜歯」という最悪の結末を迎えます。実際に多くの専門医が、「根管治療後の抜歯原因の第1位は歯根破折である」と指摘しています。

次に大きなリスク:再発(二次感染)

適切な被せ物をしない状態や、不完全な仮蓋のままでいると、唾液中の細菌が再び根管内に侵入し「根尖性歯周炎」を引き起こします。これには以下のデメリットが伴います。

  • 再び時間と費用をかけて治療をやり直す必要がある

  • 再治療の成功率は、初回よりも格段に低くなる

その他のトラブルと「長期的な投資」

さらに、以下のような複合的な問題を引き起こす可能性も無視できません。

  • 隣の歯との間に隙間ができ、食べ物が詰まりやすくなる

  • 噛み合わせのバランスが崩れ、顎関節への負担が増す

被せ物を装着することは、単に歯を保護するだけでなく、お口全体の健康と機能性を維持するための長期的な投資です。これらのリスクを理解すれば、被せ物治療の重要性がお分かりいただけるはずです。

4. どのくらいの期間で装着するべき?

根管治療は、感染源の除去と根管内の封鎖という非常に繊細なステップで成り立っています。治療の最終段階である「被せ物の装着」は、この治療の成否を決定づける最後の砦です。

では、根管治療が終了してから被せ物を装着するまでの期間は、一体どれくらいが理想的なのでしょうか。

理想的な期間:できる限り早く装着を

結論から言えば、できる限り早く、理想的には根管充填(根管内に薬剤を詰める処置)後、数日から1週間以内には型取りを行い、最終的な被せ物を装着すべきです。

この「速さ」が求められるのには理由があります。 最終的な修復物が入るまでの間、歯は「仮の蓋(仮封)」だけで守られています。しかし、仮の蓋はあくまで一時的なものです。

  • 時間の経過とともに徐々に劣化し、隙間が生じる

  • わずかな隙間から細菌が侵入し、二次感染(再発)のリスクが急激に高まる

ある研究データによれば、仮の蓋のまま4週間以上経過すると、細菌の再侵入リスクが著しく高まることが指摘されています。

製作期間中の注意点

特に自費診療(セラミックなど)の場合、型取りから装着までに数週間かかるのが一般的です。「急いでいないからゆっくり選びたい」と考えがちですが、この期間こそが最も危険であることを理解しておく必要があります。

もし装着が遅れる場合は、歯科医師に相談し、以下の対応を依頼することが賢明です。

  • 仮の蓋の強度や密閉性を確認してもらう

  • より強固な仮の修復物に入れ替えてもらう

治療の流れと「時間との勝負」

治療の流れを整理すると、以下のようになります。このプロセスにおいて、各ステップ間の移行は細菌の侵入を防ぐための時間との勝負であることを強く意識してください。

  1. 根管治療の完了(根管充填) 根管内を無菌化し、最終薬剤を緊密に詰める。

  2. 土台の装着(コア) 歯が大きく欠損している場合、被せ物を支えるための土台を装着。

  3. 型取り 被せ物のための精密な型取りを行う。

  4. 仮の蓋(仮封) 型取り後、被せ物が完成するまでの間、根管内を保護する。

  5. 最終的な被せ物(クラウン)の装着 技工所で完成したクラウンを装着し、根管内を永久に密閉する。

関連記事:根管治療で歯を守る!再発を防ぐために知っておくべき10のポイント

5. 保険適用される被せ物の種類

歯科治療において、保険診療の最大のメリットは「全国どこでも一定水準の治療が安価で受けられる」点です。
しかし、使用できる素材や条件が厳しく決められており、自費診療に比べると審美性や耐久性に制約があるのが現実です。

保険診療の主流「金銀パラジウム合金」

いわゆる「銀歯」です。奥歯の治療で最も広く使われているスタンダードな素材です。

  • メリット:強度が高く、強い噛み合わせにも耐えられる
  • デメリット:金属色が目立つ、金属アレルギーのリスク、歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)の原因になる

白くて金属を使わない「CAD/CAM冠」

近年、保険適用で白い被せ物(CAD/CAM冠)を選べるケースが増えています。
これはプラスチックとセラミックを混ぜた「ハイブリッドレジン」をコンピュータで削り出したものです。

  • 特徴:白くて審美性に優れるが、セラミックほどの耐久性はない
  • 適用範囲:小臼歯に加え、条件(金属アレルギー診断や残存歯質の量など)を満たせば大臼歯にも使用可能

※大臼歯への適用条件は厳しいため、必ず担当医に確認してください。

保険の被せ物は費用を抑えられますが、素材の性質上、プラーク(汚れ)が付きやすく、二次的な虫歯のリスクが若干高まる点は理解しておく必要があります。

保険適用の主な種類 主な使用部位 素材の特性
金銀パラジウム合金 主に大臼歯(奥歯) 強度が高く割れにくいが、審美性に劣り、金属アレルギーのリスクがある。
CAD/CAM冠 小臼歯、条件を満たせば大臼歯 白い素材で審美性に優れるが、金属よりは耐久性が劣る。
硬質レジン前装冠 犬歯を含む前歯 金属の上にレジンを貼り付けたもので、経年で変色しやすい。

 

6. セラミックと金属、どちらがいい?

根管治療後の被せ物選びで、「セラミック」にするか「金属」にするかは、最も悩ましいポイントです。
この選択は単なる費用や見た目の問題ではなく、10年後、20年後の歯の寿命を左右する「戦略的な決断」と言えます。それぞれの「長期的なリスクとリターン」を比較して選びましょう。

審美性と機能性の違い

まず、見た目の美しさ(審美性)ではセラミックに圧倒的な軍配が上がります。

  • セラミック:天然歯のような透明感があり、変色しません。前歯や小臼歯など目立つ部分に適しています。
  • 金属:強度はありますが、見た目の問題や、金属イオンの溶出によるアレルギーリスクがあります。

特にジルコニアなどの最新セラミックは、金属に匹敵する強度を持ちながら、金属アレルギーの心配が一切ないという大きなメリットがあります。

「汚れのつきにくさ」と二次虫歯リスク

長期的な歯の寿命を考える上で重要なのが、細菌(プラーク)の付着しやすさです。

  • セラミック:表面が非常に滑らかでツルツルしているため、プラークがつきにくく、清掃しやすいのが特徴です。これにより、被せ物の隙間から虫歯が再発するリスクを低く抑えられます。
  • 金属(特に保険):表面が傷つきやすく、プラークが溜まりやすい傾向があります。また、経年劣化で隙間ができやすく、そこが二次虫歯の温床になることがあります。

費用を度外視して「耐久性」「美しさ」「安全性」を追求するなら、高品質なセラミック(ジルコニアやe.max)が論理的な選択です。
費用を最優先して金属(保険)を選ぶ場合は、リスクを理解した上で、丁寧なメンテナンスを続ける覚悟が必要です。

比較項目 セラミック素材(ジルコニア、e.maxなど) 金属素材(金銀パラジウム、ゴールドなど)
審美性 極めて高い(天然歯の色調・透明感を再現) 低い(金属色で目立つ)
生体親和性 非常に高い(金属アレルギー・歯茎変色の心配なし) 素材による(保険のパラジウムはアレルギーリスクあり)
プラーク付着性 低い(表面が滑沢で清掃しやすい) 高い(ザラつきやすく、プラークが溜まりやすい)
二次虫歯リスク 低い(接着力が高く、適合性に優れるため) 素材による(保険の金属は高め)

 

参考ページ:根管治療の費用はいくら?保険適用と自費診療の違いを徹底解説

7. 長持ちさせるためのメンテナンス方法

どんなに精密な治療を行い、最高の素材で被せ物を入れても、それが永久に持つわけではありません。
被せ物の寿命を延ばせるかどうかは、治療後のメンテナンスにかかっています。これは高級車を購入した後、オイル交換や点検を怠ればすぐに性能が落ちるのと同じことです。

目標は「汚れを溜めない」&「力から守る」

メンテナンスの目標は主に2つです。

  • 被せ物の周囲にプラークを溜めないこと
  • 異常な噛み合わせの力から被せ物を守ること

徹底的な「セルフケア」で隙間を磨く

毎日のケアでは、通常の歯ブラシだけでは不十分なケースが多いです。
特に「被せ物と歯茎の境目」は汚れが溜まりやすく、トラブルの起点になります。

  • 清掃のポイント:歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシを活用する
  • 目的:隠れた隙間を徹底的に磨き上げ、二次虫歯や歯周病を防ぐ

「プロフェッショナルケア」で早期発見

根管治療後の歯は神経がないため、異常があっても痛みを感じません。気づいた時には手遅れ、という事態を防ぐために定期検診が必須です。

  • レントゲン・検診:被せ物の下や根の状態をチェックし、無症状のトラブルを発見する
  • PMTC:セルフケアでは落ちないバイオフィルムをプロが除去する
  • ナイトガード:歯ぎしりや食いしばりがある場合、就寝中の強い力から被せ物を守るマウスピースを作成する

理想的なサイクルは人によりますが、最低でも3〜6ヶ月に一度のチェックを受けることが、大切な被せ物を守る鉄則です。

ケアの種類 主な目的 具体的なアクション
ホームケア(セルフケア) 被せ物の周囲と歯間のプラーク除去 歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシの活用
プロケア(定期検診) 異常の早期発見と専門的な清掃 3〜6ヶ月ごとの検診、レントゲン検査、PMTC(専門的機械的歯面清掃)、噛み合わせチェック
リスク対策 過度な咀嚼圧からの保護 歯ぎしりや食いしばりがある場合はナイトガードの装着

 

参考:定期検診の結果説明、理解してる?歯科医師に聞くべき5つの質問

8. 被せ物の費用相場と選び方

根管治療後の被せ物にかかる費用は、患者さんにとって最も大きな関心事の一つでしょう。
費用は「保険適用」か「自費診療」かによって大きく異なります。相場を理解し、予算と質(クオリティ)のバランスを考えることが賢明な選択への第一歩です。

保険適用の被せ物(安価・一律)

素材やルールが限定されているため、全国どこでも費用はほぼ一定です。
3割負担の場合、窓口での支払いは5,000円〜10,000円程度(治療費等の総額)が一般的です。

  • 主な素材:金銀パラジウム合金(銀歯)、CAD/CAM冠など
  • 注意点:費用は抑えられますが、審美性や適合性に限界があり、数年後の再治療リスクを考慮する必要があります。

自費診療の被せ物(高価・高品質)

素材や医院の技術水準により変動しますが、オールセラミックやジルコニアの場合、1本あたり8万円〜15万円程度が中心価格帯です。
高額な理由は素材代だけでなく、被せ物の寿命を延ばすための「質への投資」が含まれているからです。

  • マイクロスコープを使用した精密治療
  • 熟練した技工士による製作
  • 長期的な保証制度

費用比較の際に確認すべき3つのポイント

単純な金額だけでなく、以下の内容が含まれているか必ず確認しましょう。

  • 治療費の内訳:本体価格だけでなく、土台(コア)、型取り、仮歯の費用が含まれているか
  • 保証期間:一般的に5〜10年程度。再治療時の費用負担などの条件も確認する
  • 素材のグレード:同じ素材名でも、メーカーや技工所のレベルによって品質に差がある

「安物買いの銭失い」は避けるべきです。せっかく根管治療が成功しても、被せ物の不具合で抜歯になっては元も子もありません。
トータルでの経済的・身体的負担を考え、ご自身の歯を守るために最も合理的な選択をしてください。

比較項目 保険適用 自費診療
費用相場(目安) 5,000円〜10,000円(3割負担) 8万円〜15万円(全額自己負担)
主な素材 金銀パラジウム合金、CAD/CAM冠 オールセラミック、ジルコニアなど
費用の性質 最低限の機能回復を安価に提供 「質」と「長期安定性」への投資
確認事項 適用部位や条件の制限 保証期間、別途費用の有無

 

9. 治療後のトラブルを防ぐコツ

根管治療が完了し、被せ物(クラウン)の装着まで終われば、一連の治療は一旦終了となります。しかし、その後のケアを怠ると、痛みや腫れ、最悪の場合は抜歯というトラブルに繋がります。 治療後のトラブルを防ぐコツは、主に「噛み合わせへの意識」と「セルフチェックの徹底」です。

噛み合わせへの意識と食事の注意点

まず注意すべきは「過度な負荷」です。神経がない歯は痛みを感じにくいため、無意識に強く噛んでしまいがちです。特に被せ物を入れた直後にその歯ばかり使うと、「歯根破折」のリスクが高まります。 トラブルを防ぐため、以下の点に注意してください。

  • 左右均等に噛む:意識的に左右の歯を使って食事をする

  • 硬い食材を避ける:せんべいや氷などを強く噛まない

  • 粘着性の高いものを避ける:キャラメルなどは被せ物が外れる原因になるため控える

専門家の間でも「治療後の歯は特別なものとして、慎重に扱う」ことが推奨されています。

日々のセルフチェックの徹底

トラブルの多くは、隙間からの細菌侵入(二次虫歯)や被せ物の破損から始まります。毎日鏡を見て、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 歯茎の境目:赤く腫れていないか、出血がないか

  • 被せ物表面:目に見えるヒビや欠け、変色がないか

  • 噛み合わせ:噛んだ時に、その歯だけ強く当たる感じ(違和感)がないか

  • 口臭:被せ物の周囲から不快な臭いがしないか

これらの異常を早期に発見できれば、簡単な調整で済む場合がほとんどです。「痛みがないから大丈夫」と放置せず、少しでも違和感を覚えたら、定期検診を待たずに歯科医院へご相談ください。

10. 歯科医院選びのポイントとは?

根管治療とそれに続く被せ物(クラウン)の治療は、歯科治療の中でも特に専門性と精密性が求められる分野です。被せ物の寿命は、素材の品質だけでなく、「治療を行った歯科医師の技術と経験」、そして「その医院の治療環境」に大きく左右されます。納得のいく治療を受け、大切な歯を長期的に守るためには、歯科医院選びを慎重に行う必要があります。

まず、最も重要なチェックポイントは、「精密根管治療のための設備が整っているか」という点です。根管治療は、肉眼では見えないほど複雑で微細な作業です。そのため、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)CT(三次元画像診断装置)を導入している医院であるかどうかは、治療の精度を判断する上で決定的な要素となります。マイクロスコープの使用は、根管の形態を正確に把握し、感染部位を確実に除去するために不可欠です。私自身、この分野の専門医の先生方に話を聞く中で、マイクロスコープがなければ、成功率は著しく下がると強く認識しました。

次に、「被せ物製作のための連携体制」も重要な判断基準です。被せ物は、歯科医師の型取りを基に、歯科技工士が製作します。自費診療の高品質なセラミッククラウンの場合、医院と連携している歯科技工所が、高い技術力を持っているかどうかが、見た目の美しさ(審美性)と歯への適合性(耐久性)を大きく左右します。技工士と歯科医師が密に連携を取り、場合によっては技工士が患者さんの口元を直接確認する「シェードテイキング(色合わせ)」を行う体制が整っているかを確認しましょう。

さらに、「長期的なメインテナンスへの意識」も重要です。治療が終わった後も、継続して定期検診やクリーニングに通いやすい環境であるか、そして歯科医師が治療後の長期的な予後(寿命)について明確な見通しと、それに向けたメインテナンス計画を提示してくれるかも、医院の信頼性を測る指標となります。単に「治療をして終わり」ではなく、「歯の生涯にわたる伴走者」として、医院を選びましょう。

チェックポイント 重要性(理由)
マイクロスコープ・CTの有無 根管治療の精密性と成功率を格段に向上させる。
被せ物(クラウン)の選択肢と保証 多様な素材の提案と、長期保証の有無は技術と自信の裏付けとなる。
技工士との連携体制 高品質な被せ物の適合性・審美性を確保するために不可欠。
メインテナンスへの注力度 治療後の再発を防ぎ、歯の寿命を延ばすための長期的なサポート体制。

 

被せ物治療の重要性を理解し、歯の寿命を延ばすために

ここでは、根管治療後に被せ物(クラウン)が必要不可欠である理由から、具体的な素材の選び方、そして長期的に歯を守るためのメインテナンスのコツまで、一貫して解説してきました。この情報を通じて、読者の皆さんが「なぜ、わざわざ被せ物が必要なのか」という根本的な疑問を解消し、納得して次の治療ステップに進んでいただければ幸いです。

根管治療後の被せ物は、単なる「修復物」ではなく、大切な歯の寿命を左右する「保護具」であるという事実です。神経を失った歯は、物理的にも生物学的にも脆弱であり、被せ物をすることで初めて、強い咀嚼圧や細菌の再侵入という二重の脅威から守られます。特に、費用を抑えることばかりに気を取られ、不適切な素材や不完全な治療で済ませてしまうと、数年後に歯根破折や二次虫歯という深刻なトラブルを招き、結果的に抜歯に至るリスクが劇的に高まります。高品質な被せ物を選ぶことは、将来の再治療費用や抜歯後のインプラント費用を考えれば、極めて合理的な長期投資であると論理的に理解することが重要です。

では、この知識を活かして、読者が今日から実践できる具体的なアクションは何でしょうか。

  • まずは、担当の歯科医師と「長期保証」と「適合精度」について話し合ってみてください。 保険、自費にかかわらず、治療の費用だけでなく、「もし割れたらどうなるか」「再発しないよう、どんな技術(マイクロスコープなど)が使われるか」といった、治療後の予後に関する具体的な質問を投げかけることが重要です。これにより、医師の治療に対する意識の高さを見極めることができます。
  • 次に、毎日、デンタルフロスや歯間ブラシを被せ物をした歯の周りに通す習慣をつけましょう。 被せ物の寿命は、その周囲の清掃状況が9割を占めます。神経がない歯は痛みでトラブルを教えてくれません。「被せ物の境目」を徹底的に磨き上げることが、二次虫歯を防ぐ最もハードルの低い、かつ最も効果的な予防策です。

治療の必要性を明確に理解し、「納得のいく被せ物」を選ぶこと。そして、その歯を大切にするための「日々のメインテナンス」を継続すること。この二つの行動こそが、根管治療後の大切な歯を一生涯守り抜くための、確かな一歩となるでしょう。

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執筆者

丘の上歯科醫院 院長

平成16年:愛知学院大学(歯)卒業
IDA(国際デンタルアカデミー)インプラントコース会員
OSG(大山矯正歯科)矯正コース会員
YAGレーザー研究会会員

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