予防歯科
YAGレーザー導入
オカ・ジロー日誌(ブログ)
twitter link
facebook link
*
診療時間

△土曜午後は午後2:00から4:00迄
【休診日】木曜・日曜日・祝日

診療科目

予防歯科/一般歯科/小児歯科/矯正歯科/審美歯科/インプラント/障がい者歯科・訪問歯科

スタッフ募集
  • 予防歯科
  • 一般歯科・小児歯科
  • 矯正歯科・審美歯科
  • 障がい者歯科・訪問歯科
丘の上歯科医院

丘の上歯科醫院

院長:内藤 洋平

〒458-0925
名古屋市緑区桶狭間1910
TEL:052-627-0921

*
  • 一般歯科・小児歯科
  • 矯正歯科・審美歯科
  • 障がい者歯科・訪問歯科
丘の上歯科医院
歯科コラム

歯周病の原因とリスク要因を徹底解説|見逃せない10のポイントと全身への影響

 

歯周病は、静かに進行する恐ろしい病気です。虫歯のような鋭い痛みがないため、気づいた時には手遅れになっているケースも少なくありません。厚生労働省の調査によると、成人の約8割が何らかの歯周トラブルを抱えているとされています。歯周病は、歯を支える歯茎や骨が徐々に破壊され、最終的には歯が抜けてしまうという深刻な結果を招きます。

本記事では、歯周病の原因とリスク要因を10項目にわたり徹底的に分析します。なぜこれほど多くの人が歯周病に悩まされているのか、そして自分自身の生活習慣や体質がどう関係しているのかを明らかにし、予防・対策に役立てていただくための知識を提供します。

最も一般的な原因は、歯と歯茎の間に溜まるプラーク(歯垢)です。これは細菌の塊であり、放置すれば歯肉炎や歯周炎へと進行します。しかし、歯周病の進行には、単にプラークの存在だけでなく、さまざまなリスク要因が関係していることが近年の研究で明らかになってきました。

例えば、遺伝的な要素が強い人や、喫煙習慣のある人、ストレスを抱えている人などは、歯周病にかかるリスクが高まります。また、糖尿病などの全身疾患との関連性も指摘されており、歯周病はもはや「口の中だけの問題」ではありません。歯周病が進行すると、歯茎が下がり、歯の根元が露出し、やがて歯がぐらつき、抜け落ちることもあります。

また、年齢を重ねるにつれ歯周組織の再生能力は低下し、治療が困難になるケースもあります。さらに、毎日の歯磨き習慣が不適切である場合、どんなに歯科に通っていても歯周病のリスクは高まってしまいます。特に、強すぎるブラッシングや磨き残しは、かえって歯茎を傷つけてしまう原因になります。

この記事では、具体的な原因を10項目に分類し、詳細に解説していきます。それぞれのリスク要因がどのように歯周病の発症・進行に影響を与えるのかを知ることで、自分に合った予防策を取ることができるようになります。健康な歯と長く付き合っていくために、まずは正しい知識を持つことから始めましょう。

 


目次

1.歯周病の主な原因を分析する
2. 遺伝と環境要因の影響
3. 食生活と歯周病の関係
4. 喫煙が歯周病リスクを高める理由
5. ストレスと免疫力の関係
6. 加齢による歯周病の進行
7. 口内細菌のバランスと危険性
8. 不適切なブラッシング習慣の影響
9. 歯周ポケットの形成と進行
10. 全身疾患との関連性を考える


 

1. 歯周病の主な原因を分析する

歯周病は、歯を支える歯茎や骨に炎症が起こり、最終的には歯の脱落を引き起こす可能性がある病気です。歯周病の原因となる主な要素は、プラーク(歯垢)に含まれる細菌です。これらの細菌は、歯と歯茎の間に付着し、時間とともに増殖して歯茎を炎症させ、最終的に歯槽骨を破壊します。歯周病は軽度であれば痛みが少なく、自覚症状もほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。

プラークの影響と放置のリスク

歯周病の発症に最も関与しているのは、歯に付着したプラーク(歯垢)です。プラークは食べ物の残りかすや唾液中の細菌が集まり、粘着性のある膜を形成します。プラークが歯と歯茎の間に溜まると、その中の細菌が歯茎に炎症を引き起こします。さらに、歯茎の炎症が悪化し、歯周ポケットが形成され、進行すると歯槽骨を侵食することになります。放置すると、最終的に歯がぐらついて抜け落ちるリスクが高まります。

歯垢と歯石の違い

歯垢は、食事の残りかすや唾液中の細菌が集まってできるもので、柔らかく粘着性があります。しかし、時間が経つと歯垢は硬化し、歯石に変わります。歯石は歯科医院でしか除去できないため、セルフケアで取り除くことはできません。歯石が溜まると、さらに細菌が繁殖しやすくなり、歯茎に炎症を引き起こします。定期的に歯科医院で歯石を除去することが、歯周病予防には不可欠です。

歯周病のリスク因子

歯周病の進行は、歯垢や歯石の蓄積だけでなく、生活習慣や全身の健康状態にも影響されます。喫煙や不適切な食生活は歯周病を悪化させる要因です。喫煙は、歯茎の血流を悪化させ、免疫力を低下させるため、歯周病の進行を早めます。また、糖尿病などの全身疾患があると、免疫機能が低下し、歯周病が悪化しやすくなります。生活習慣の改善が、歯周病予防には欠かせません。

 

 

2. 遺伝と環境要因の影響

歯周病は遺伝的要因や環境要因にも影響されます。家族に歯周病を患っている人が多い場合、遺伝的に歯周病にかかりやすい体質を持っている可能性があります。生活習慣が似ている家族内で歯周病が多いのは、遺伝とともに食習慣やオーラルケアの共通点が影響しているためです。

遺伝的要因と免疫反応

遺伝的に歯周病にかかりやすい体質を持つ人もいます。特に免疫系に影響を与える遺伝子変異があると、歯周病の発症や進行が早くなる傾向があります。例えば、インターロイキン-1(IL-1)という遺伝子に変異があると、歯茎の炎症が過剰に反応しやすく、歯周病が進行しやすいことが分かっています。また、免疫系の働きが弱いと、歯周病を引き起こす細菌に対して十分な防御ができず、歯周病の進行が早くなります。

環境要因の影響

歯周病は遺伝的要因だけでなく、生活環境や社会経済的要因にも関係しています。都市部に住んでいる場合、歯科医院へのアクセスが良好で、定期的に歯科検診を受けやすいですが、地方で歯科医院が少ない地域では診察が遅れることがあり、歯周病が進行しやすくなります。また、低所得層では歯科治療に対するアクセスが限られることが多く、歯周病が進行しやすい傾向があります。環境要因は歯周病の発症と治療に大きな影響を与えるため、予防のためには歯科医療へのアクセスが重要です。

生活習慣と歯周病

歯周病の進行は生活習慣に大きく依存します。喫煙は歯周病を悪化させる最大のリスク因子のひとつです。喫煙が歯茎の血流を悪化させ、免疫力を低下させるため、歯周病が進行しやすくなります。さらに、喫煙により歯茎が回復しにくくなるため、治療が難しくなります。また、不規則な食生活やストレスも歯周病のリスクを高めます。生活習慣を見直すことが、歯周病予防に繋がります。

 

 

3. 食生活と歯周病の関係

食生活は歯周病に直接的な影響を与えます。過剰な糖分摂取や偏った食事は口腔内の環境を悪化させ、歯周病を引き起こす原因になります。一方で、バランスの取れた食事を心がけることで、歯周病を予防することができます。食事によって歯茎や歯の健康を守るためには、栄養バランスを考慮した食事が大切です。

糖分と歯周病の関係

糖分は歯周病を引き起こす大きな原因です。歯周病を引き起こす細菌は糖分をエサにして増殖します。これらの細菌が歯茎に炎症を引き起こし、歯茎の腫れや出血、最終的には歯槽骨の破壊を招きます。特に清涼飲料水や甘いお菓子は、糖分が多く含まれており、歯茎に悪影響を与えます。歯周病を予防するためには、糖分の摂取を控えることが重要です。

ビタミンCの重要性

ビタミンCは歯茎の健康に欠かせない栄養素です。ビタミンCが不足すると、歯茎が腫れやすくなり、歯周病が進行しやすくなります。新鮮な果物や野菜に多く含まれるビタミンCは、歯茎の健康を守るとともに、免疫機能を高める働きがあります。特にビタミンCが豊富な食べ物(オレンジ、キウイ、ピーマンなど)は歯茎の健康維持に役立ちます。

食物繊維と歯茎の健康

食物繊維が豊富な食品は、歯茎の健康にも良い影響を与えます。食物繊維は、咀嚼することで唾液の分泌を促進し、口腔内の自浄作用を高めます。唾液は口腔内の細菌を抑制し、歯垢を自然に取り除く働きがあります。野菜や果物、全粒穀物などの食物繊維が豊富な食品を摂取することが歯周病予防に繋がります。

口腔ケアと食事の連携

歯周病予防には、口腔ケアと食事の両方が重要です。規則正しい食生活と適切なブラッシングを組み合わせることで、歯周病を防ぐ効果が高まります。食後に歯を磨くことで、歯周病のリスクを減少させることができます。歯周病の予防には、毎日のオーラルケアとバランスの取れた食生活が欠かせません。

 


🦷歯の健康を守る情報発信中!🦷

「丘の上歯科醫院」では、予防歯科を中心に、お口の健康を長く維持するための最新情報をお届けしています。虫歯・歯周病を防ぎたい方、健康な歯をキープしたい方は、ぜひ定期検診をご検討ください!

📅 予防歯科のご予約はこちら 👉 予約ページ


 

4. 喫煙が歯周病リスクを高める理由

喫煙は、歯周病の発症と進行に大きく影響を与える最大のリスクファクターの一つです。タバコに含まれる化学物質が、歯周組織に悪影響を与えることは数々の研究により明らかになっており、喫煙者は非喫煙者に比べて2倍以上歯周病にかかりやすく、またその進行も速いとされています。

血流の低下と治癒力の鈍化

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があります。これにより歯茎の血流が悪化し、酸素や栄養が行き渡りにくくなります。健康な歯茎であれば、細菌感染に対して免疫細胞が働き炎症を抑えますが、血流が低下しているとその防御反応が十分に機能しません。

また、炎症が起こっても喫煙者は非喫煙者と比べて出血しにくく、一見すると健康な歯茎に見えることがあります。このように症状が見えにくいため、歯周病の発見が遅れ、気づいたときには進行してしまっていることも多いのです。

白血球の機能低下

タバコに含まれる化学物質は、免疫機能にも深刻な影響を与えます。特に白血球の一種である好中球は、細菌を攻撃する重要な役割を担っていますが、喫煙によってその機能が抑制されてしまいます。その結果、歯周ポケット内での細菌のコントロールが難しくなり、慢性的な炎症を引き起こします。

研究では、喫煙者は歯周ポケット内の炎症性サイトカインのレベルが高く、組織破壊が進行しやすいことが確認されています。炎症による歯槽骨の吸収が促進され、歯がぐらつきやすくなるのです。

喫煙本数とリスクの関係

喫煙による歯周病リスクは、単に喫煙しているかどうかではなく、その本数や期間にも比例します。1日に20本以上を10年以上喫煙している人は、重度歯周病の発症リスクが4倍以上になるというデータもあります。さらに、タバコをやめてもそのリスクはしばらく残り、完全に回復するには年単位の禁煙が必要とされています。

受動喫煙も無関係ではなく、家族や職場での喫煙環境が歯周病のリスクを高める可能性があることも報告されています。特に小児期からの受動喫煙は、成人後の歯周病リスクを顕著に上昇させるという調査結果も出ています。

 

5. ストレスと免疫力の関係

ストレスが健康に与える影響は広く知られていますが、歯周病との関係についてはあまり意識されていないかもしれません。しかし、精神的・身体的ストレスは免疫力を低下させ、炎症を引き起こしやすい体内環境を作るため、歯周病の発症および悪化に密接に関係しています。

ストレスが免疫機能に及ぼす影響

ストレスがかかると、体内ではコルチゾールというホルモンが分泌されます。このホルモンは免疫細胞の活動を抑制する作用があり、歯周病原菌に対する防御力が弱まります。これにより、通常であれば抑えられていた炎症が慢性化しやすくなります。

さらに、長期的なストレスは唾液分泌の減少も招きます。唾液の減少は口腔内の自浄作用を低下させ、細菌の増殖を助長する要因となります。これにより歯垢が溜まりやすくなり、歯周病のリスクが一層高まります。

ストレスによる生活習慣の変化

ストレスが続くと、生活習慣そのものが乱れがちになります。睡眠不足、偏食、運動不足などが重なることで免疫力は低下し、口腔環境も悪化します。加えて、ストレスによって歯ぎしりや食いしばりといった無意識の行動が増えると、歯周組織に物理的な負荷がかかり、炎症が助長される可能性があります。

近年では、精神的ストレスと歯周病の関連を調査した研究が増えており、特にうつ病や不安障害を抱える人は、健康な人よりも歯周病の発症率が高いというデータも報告されています。

ストレス対策がもたらす予防効果

ストレスを軽減することで、間接的に歯周病の予防にもつながります。例えば、適切な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけることで、免疫機能が正常に働き、炎症を抑えることができます。また、リラクゼーションや軽い運動、深呼吸といったストレスマネジメントは、歯周病だけでなく、全身の健康にも効果的です。

歯科治療においても、ストレスの有無をヒアリングすることで、より効果的な治療計画が立てられるようになっています。歯周病は口の中だけの問題ではなく、心と体全体に影響を受ける疾患であるという視点が、今後ますます重要になるでしょう。

 

 

6. 加齢による歯周病の進行

年齢を重ねるごとに、歯周病のリスクは確実に上昇します。高齢者の多くが歯を失う原因の筆頭に歯周病があり、その進行スピードも若年層とは異なる点が数多くあります。加齢に伴う生理的変化が、歯周組織に与える影響について詳しく解説します。

歯周組織の再生能力の低下

加齢により歯茎や歯槽骨などの歯周組織は再生能力が低下します。たとえ一時的に炎症が治まったとしても、損傷を受けた組織が完全に回復するまでには時間がかかり、場合によっては元に戻らないこともあります。これは、コラーゲンの生成能力が加齢によって減少することや、細胞の代謝が遅くなることが原因とされています。

また、年齢とともに歯根が露出しやすくなり、知覚過敏やプラークの付着しやすさが増すことも、歯周病の進行を助長する要因です。

口腔乾燥症の発症率の増加

高齢者に多い問題として「ドライマウス(口腔乾燥症)」があります。これは唾液の分泌量が減少することで、口腔内が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなる状態です。ドライマウスは薬の副作用や加齢そのものによっても発生し、歯周病のリスクを高める重要なファクターとされています。

実際に、60歳以上の高齢者の約40%が何らかの口腔乾燥の症状を感じているとされており、その多くが歯周病に悩まされているという統計もあります。

加齢による生活環境の変化

加齢とともに、自立した生活が難しくなり、歯磨きの頻度や精度が低下することも歯周病の原因となります。特に、要介護高齢者では、介助者によるオーラルケアが不十分なケースが多く、歯周病が重度化する傾向にあります。

さらに、認知症や運動障害があると、歯科受診そのものが困難になり、治療の機会を逸することもあります。これにより、初期段階の歯周病が見過ごされ、進行した段階でようやく発見されるケースが少なくありません。

加齢に伴う変化を前提とした予防策が求められており、定期的な専門的口腔ケアや、本人・家族への啓発が重要です。年齢を重ねても歯の健康を維持するためには、生活環境と体の変化に合わせた対策が必要です。

 


🦷歯の健康を守る情報発信中!🦷

「丘の上歯科醫院」では、予防歯科を中心に、お口の健康を長く維持するための最新情報をお届けしています。虫歯・歯周病を防ぎたい方、健康な歯をキープしたい方は、ぜひ定期検診をご検討ください!

📅 予防歯科のご予約はこちら 👉 予約ページ


 

7. 口内細菌のバランスと危険性

口腔内には常時約700種類以上の細菌が存在しており、健康な状態では善玉菌・悪玉菌がバランスよく共存しています。しかしこのバランスが崩れた状態、いわゆる「ディスバイオシス」が発生すると、歯周病原菌が優位になり、歯茎や歯槽骨に深刻な影響を与えます。

歯周病の引き金となるキーストーン病原体

歯周病の代表的な原因菌であるPorphyromonas gingivalisは、「キーストーン病原体」として知られており、少量でも菌叢全体のバランスを崩す特性を持っています。この菌が増えると、炎症性サイトカインが過剰に分泌され、歯周組織を破壊する悪循環が始まります。

バイオフィルムの存在と耐性の強さ

歯垢は細菌が集合して作る「バイオフィルム」という構造で形成されます。バイオフィルム内部の細菌は外部からの刺激に対して非常に強い耐性を持っており、一般的な洗口液や抗菌剤では除去が難しいのが特徴です。これは、日常のセルフケアだけで完全に対応できない理由のひとつです。

多様性の欠如がもたらす影響

健康な口腔環境では、菌の多様性が保たれており、善玉菌が悪玉菌の増殖を抑制します。しかし、歯周病の進行に伴い特定の病原菌が増え、他の菌が減少していくと、多様性が失われ、炎症が慢性化しやすくなります。ある研究では、重度歯周病の患者は健康な人に比べて約30%ほど菌種が減少していると報告されています。

自分では気づきにくい菌の状態

口内細菌のバランスは、加齢・ホルモンバランス・食生活・ストレスなどさまざまな要因に左右されます。一見きちんと磨いていても、目に見えない菌の変化を自覚することは困難です。近年では、唾液検査を用いた細菌分析も行われるようになっており、予防医療への応用が進んでいます。

 

 

8. 不適切なブラッシング習慣の影響

多くの人が毎日行っている歯磨き。しかし、その「やり方」によっては、逆に歯や歯茎にダメージを与え、歯周病を進行させてしまう可能性があります。正しい方法を知らないまま続ける習慣は、長期的に見て非常に危険です。

力任せの磨き方が歯茎を傷める

力強く磨くことは「汚れがよく落ちる」と思われがちですが、過度なブラッシングは歯茎の退縮や知覚過敏の原因になります。特に歯と歯茎の境目はデリケートな部位であり、正しい角度と適度な圧力が求められます。理想的な力加減は、150g程度とされており、これはキッチンスケールの上で毛先が軽くしなるくらいです。

歯並びや手の使い方による磨き残し

特に奥歯の裏側や歯間部はブラシが届きにくく、プラークが残りやすい部位です。毎回同じ動作・同じルートで磨いていると、偏った磨き方になりやすく、結果として歯周病が局所的に進行します。電動歯ブラシを使用していても、ヘッドの当て方が不十分であれば意味がありません。

道具の選び方と交換時期

硬すぎる歯ブラシは歯茎を傷つけ、柔らかすぎるブラシでは清掃力が不足します。また、毛先が広がった歯ブラシではプラークの除去力が落ちるため、月に1回の交換が理想的とされています。加えて、研磨剤が多い歯磨き粉を使いすぎるとエナメル質を削ってしまうため、成分表示にも注意が必要です。

習慣改善の第一歩は自己認識

磨き方に正解があると知っている人は意外と少なく、自己流で磨いている人がほとんどです。歯科医院でのブラッシング指導は、自分の癖を見直し、正しいケアを習慣化するための効果的な手段です。毎日の習慣を少しずつ変えていくことで、歯周病の予防は大きく前進します。

 

9. 歯周ポケットの形成と進行

歯周病の進行度を測るうえで最もわかりやすいのが、歯周ポケットの深さです。歯と歯茎の間にできるこの隙間は、病状が悪化するにつれて徐々に深くなり、内部で細菌が繁殖する温床となります。

 健康な状態から病態への変化

通常、健康な歯茎では歯周ポケットの深さは1〜2mm程度です。しかし、炎症によって歯茎が腫れたり下がったりすると、この隙間が3mm、4mmと深くなり、歯周ポケットと呼ばれる状態になります。この内部には酸素が少なく、嫌気性の病原菌が急速に増殖します。

深さと抜歯リスクの関係

歯周ポケットが6mm以上になると重度と診断され、自然治癒は困難になります。ある研究では、6mm以上のポケットを持つ歯の5年後の保持率は約60%にまで低下するとされており、放置すれば抜歯のリスクが高まります。

深いポケットには歯ブラシが届かず、通常のセルフケアでは汚れを取り除くことができません。そのため、スケーリングやルートプレーニングといった専門的な処置が必要になります。

無症状のまま進行する落とし穴

歯周ポケットは初期段階では痛みがほとんどなく、自覚症状に乏しいのが特徴です。軽度の出血や口臭があっても、「一時的なもの」と判断して放置してしまい、重症化してから気づくケースが後を絶ちません。

自覚症状がないからこそ、定期的な検査によって早期に異常を発見し、適切な治療を行うことが重要です。

プロービング検査の有効性

歯周ポケットの深さを測定する「プロービング検査」は、歯周病の進行度を把握するための基本的な検査です。特に40代以降では歯周ポケットの出現率が大幅に増加することがわかっており、半年ごとの検診を習慣づけることで、歯の寿命を延ばすことができます。

深くなる前に気づき、手を打つ。それが歯周病による歯の喪失を防ぐもっとも確実な方法です。歯周ポケットへの理解と向き合いが、口腔内の未来を守るカギとなるのです。

 


🦷歯の健康を守る情報発信中!🦷

「丘の上歯科醫院」では、予防歯科を中心に、お口の健康を長く維持するための最新情報をお届けしています。虫歯・歯周病を防ぎたい方、健康な歯をキープしたい方は、ぜひ定期検診をご検討ください!

📅 予防歯科のご予約はこちら 👉 予約ページ


 

10. 全身疾患との関連性を考える

歯周病は口腔内の問題にとどまらず、全身の健康に大きな影響を与え、さまざまな疾患と密接に関連しています。歯周病による慢性的な炎症は、血流を通じて全身に波及し、心血管疾患や糖尿病、妊娠合併症、さらには認知症といった疾患のリスクを高めることが分かっています。

心血管疾患との強い関連

歯周病と心血管疾患は深い関連があり、歯周病患者は心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることが確認されています。歯周病によって引き起こされる炎症性物質が血管内に放出され、これが動脈硬化を促進させ、血流の流れを妨げるため、心臓や脳に対する負担が増します。アメリカ心臓協会の調査では、歯周病があると心筋梗塞のリスクが2倍になることが示されています。

歯周病の炎症が動脈壁に影響を与えると、血管の内壁が硬くなり、血液の流れが悪くなることがあるため、心臓や脳への供給が減少します。これにより、心血管疾患のリスクが顕著に増加します。

糖尿病との相互作用

歯周病と糖尿病は、相互に影響し合う関係にあります。糖尿病患者は、免疫機能が低下しやすく、歯周病が進行しやすくなるため、糖尿病が悪化する要因となることが多いです。また、歯周病による炎症が体内でインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の症状を悪化させることもあります。

実際、歯周病を治療すると糖尿病の管理が改善されるという研究もあり、歯周病と糖尿病の双方を管理することが、両方の病気の改善に寄与することが分かっています。

妊娠合併症への影響

妊婦にとって歯周病は重大なリスク因子であり、歯周病が進行していると、早産や低体重児のリスクが高まります。歯周病の炎症が引き起こすプロスタグランジンという物質の分泌が子宮を収縮させ、妊娠において不利益な影響を及ぼす可能性があります。

また、妊婦の約10%が歯周病を患っているとされ、歯周病の治療が妊娠のリスクを減少させるという研究もあります。妊婦が定期的に歯科検診を受け、歯周病の予防と治療を行うことは、母子ともに健康を守るために非常に重要です。

認知症との関連

認知症、特にアルツハイマー型認知症とも歯周病には関連性があるとされています。歯周病が引き起こす炎症性物質や細菌が、血流を通じて脳に到達し、神経の炎症を引き起こす可能性があるためです。最近の研究では、歯周病と認知症の関連性が強調されており、歯周病を予防することが認知機能の低下を遅らせる可能性があるとも言われています。

歯周病が脳に及ぼす影響を防ぐためにも、歯の健康は非常に重要であり、早期の介入が全身疾患の予防にもつながります。

歯周病は口の中だけでなく、全身の健康にも大きな影響を与えるため、日常的に予防し、定期的に専門的なケアを受けることが全身疾患のリスク低減に繋がります。

 

 

歯周病はその進行がゆっくりであるため、初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、放置すると全身疾患のリスクを大幅に高める可能性があります。歯周病の予防と早期発見が、全身の健康に大きな影響を与えることは、今後さらに重要性が増すと予想されます。

日々の口腔ケアが基本であることに加え、食生活やストレス管理などの生活習慣も歯周病の予防には欠かせません。特に喫煙や不規則な生活習慣は歯周病を悪化させるため、早期の改善が求められます。

定期的な歯科検診を受けることで、歯周病の進行を抑え、全身疾患のリスクを軽減することができます。歯周病の予防を通じて、口腔内の健康だけでなく、全身の健康も守る意識が、今後さらに重要になっていくでしょう。

歯周病は、予防と早期発見がカギを握る病気です。これからも自分自身の歯と体の健康を守るために、日々のケアと定期的なチェックを怠らずに行っていきましょう。

 


🦷歯の健康を守る情報発信中!🦷

「丘の上歯科醫院」では、予防歯科を中心に、お口の健康を長く維持するための最新情報をお届けしています。虫歯・歯周病を防ぎたい方、健康な歯をキープしたい方は、ぜひ定期検診をご検討ください!

📅 予防歯科のご予約はこちら 👉 予約ページ


 

 

ページトップ
COPYRIGHT OKANOUE DENTAL CLINIC  ALL RIGHTS RESERVED.