
「歯医者は痛くなってから行く場所」と考えていませんか。愛知県名古屋市は、実は全国でも歯科意識が高い地域として知られていますが、それでも「特に不調がないから」とメンテナンスを後回しにする方は少なくありません。しかし、一生涯自分の歯でおいしい食事を楽しむためには、自覚症状が出る前の「予防」がすべてを決定づけます。
ここでは、名古屋の歯科現場でのリアルな知見に基づき、定期検診がもたらす驚きのメリットを深く掘り下げて解説します。「痛くないから大丈夫」という思い込みを、「痛くない時こそ守る」という攻めの姿勢へ。あなたの健康寿命を大きく伸ばす、資産としての口腔ケアの価値を詳しく紐解いていきます。
目次
1. 痛みがない時こそ行くべき理由
多くの人が歯科医院への足が遠のく最大の理由は「痛くないから」というものです。しかし、歯科疾患の恐ろしい点は、自覚症状が出た時にはすでに重症化しているケースがほとんどであるということです。痛みを感じた時点では、神経まで虫歯が進行していたり、歯を支える骨が溶け始めていたりすることが多々あります。
「痛くない=健康」ではない歯科の落とし穴
歯の表面にあるエナメル質は、身体の中で最も硬い組織ですが、ここには神経が通っていません。そのため、初期の虫歯は全く痛みを感じることなく進行します。象牙質という層まで破壊が及んで初めて「しみる」「痛む」といった信号が出ますが、これはすでに防衛ラインを突破された証拠です。
- ●無痛性疾患の恐ろしさ: 虫歯や歯周病は、初期段階では痛みや腫れを伴わないことが多く、自己判断での「健康宣言」は非常にリスクが高い。
- ●不可逆的な損傷: 一度削った歯や、一度溶けてしまった顎の骨は、元の完璧な状態に再生することはありません。人工物で補うしかないのです。
- ●炎症の潜在化: 痛みがないからといって、細菌による炎症がないわけではありません。気づかないうちに慢性的なダメージが蓄積されます。
予防歯科が「一生自分の歯」を叶える唯一の道
日本人の80代における平均残存歯数は向上傾向にありますが、それでもスウェーデンなどの予防先進国と比較すると差があります。その差を生んでいるのは、技術力ではなく「検診の習慣」です。定期的にプロの目を入れることで、わずかな変化を逃さず、大きな処置が必要になる前に食い止めることができます。
自覚症状が出る前の「先回りメンテナンス」の価値
歯科医院を「修理工場」ではなく「メンテナンスサロン」として捉え直すことが重要です。定期検診に通っている人は、不快な痛み、高額な治療費、そして「歯を失う恐怖」から解放される権利を得ているといっても過言ではありません。名古屋でも特に意識の高い患者さんは、カレンダーに歯科検診を最優先事項として記入しています。
参考文献 :虫歯と全身の健康の関係を考える
2. 定期検診で発見できる初期の虫歯
初期の虫歯は、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具やライト、拡大鏡を使わなければ判別が難しいものです。一般的に「C0」や「C1」と呼ばれる段階で見つけることができれば、「歯を削らない治療」が可能になるチャンスが格段に増えます。
削らずに済む「再石灰化」のチャンスを逃さない
「C0」と呼ばれる要観察の状態は、歯の表面からミネラルが溶け出しただけの脱灰状態です。この段階であれば、適切なブラッシングと歯科医院での高濃度フッ素塗布により、再石灰化を促して治癒させることができます。
- ●フッ素の浸透効果: 歯科医院で使用する高濃度のフッ素は、市販の歯磨き粉よりも再石灰化を強力にサポートします。
- ●磨き癖の修正: 特定の箇所だけいつも汚れている場合、そこが将来の虫歯スポットになります。初期段階でその癖を指摘してもらうことが最大の防御です。
- ●食生活のアドバイス: ダラダラ食いや酸性の飲み物の摂取など、再石灰化を妨げる習慣を専門家の視点で改善できます。
鏡では絶対に見えない「隣接面」の虫歯リスク
大人になってから最も怖いのは、歯と歯の隙間(隣接面)から進行する虫歯です。ここは鏡で見ても、あるいは歯科医師がパッと見ただけでも見逃されることがあります。
- レントゲン撮影の重要性: 定期的なレントゲン診査により、目視できない内部の空洞や隙間の虫歯を精密に診断します。
- フロス操作のチェック: 隣接面の虫歯はフロスの使い方が不十分な場合に多発します。検診時に正しいフロッシングの指導を受けることが、最大の予防策です。
- 詰め物の劣化確認: 過去に治療した箇所の「境目」から始まる二次カリエスも、検診で早期発見すべき重要なポイントです。
進行を食い止める「経過観察」の専門的判断
「小さな穴があるからすぐに削る」という時代は終わりました。現在の歯科医療では、その虫歯が「今すぐ削るべき活動性」か「清掃状態で維持できる非活動性」かを慎重に判断します。この高度な判断は、継続的に口腔内を見ている歯科医師だからこそ可能な「守りの診断」なのです。
初期虫歯を見逃さないためのチェックポイント
- ● 歯の表面に チョークのような白い濁り がないか確認してもらう。
- ● フロスが引っかかる、または切れる場所はないかをプロに診せる。
- ● 半年に一度は デンタルエックス線写真 で内部に異変がないか診査する。

3. 歯周病を未然に防ぐプロのチェック
「歯を失う原因の第1位」は虫歯ではなく歯周病です。特に名古屋のように多忙なビジネスパーソンが多い地域では、ストレスや不規則な生活が歯肉の状態に直結します。歯周病は別名「サイレントディジーズ(静かなる病気)」と呼ばれ、痛みなく進行して、気づいたときには健康なはずの歯がポロリと抜け落ちるという恐ろしい結末を迎えます。
30代から急増する「サイレントディジーズ」の脅威
歯周病は中高年の病気だと思われがちですが、実は30代の約8割がすでに予備軍、あるいは罹患していると言われています。初期段階の「歯肉炎」であれば、歯科医院でのクリーニングと適切なブラッシングで100%改善が見込めますが、放置すると骨が溶け出す「歯周炎」へと移行し、元に戻すことが困難になります。
- ●自覚症状のなさ: 歯ぐきがたまに腫れる、血が出る。これらは体が発している重大なサインですが、痛みがないために見逃されがちです。
- ●口臭の原因: 歯周病菌が放出するガスは、深刻な口臭の原因となります。対人関係の自信を失わせる要因にもなり得ます。
- ●全身への波及: 歯周病菌が血管を通じて全身に回ると、糖尿病の悪化や心疾患、誤嚥性肺炎などのリスクを高めることが判明しています。
ブラッシングだけでは落とせない「歯石」と「バイオフィルム」
どんなに丁寧に磨いている人でも、お口の中の汚れを100%落とすことは不可能です。磨き残しが数日で石のように固まった「歯石」は、もはや歯ブラシではビクともしません。
- バイオフィルムのバリア: 細菌が作る強固な膜「バイオフィルム」は、うがい薬や表面的なブラッシングを跳ね返します。
- プロによる機械的除去: 専用の超音波スケーラーや研磨剤を使用することで、歯にダメージを与えず、細菌の巣窟を徹底的に破壊します。
- 縁下歯石の危険性: 歯ぐきの奥深くに潜り込んだ「縁下歯石」は、専門家でなければ絶対に見つけることも除去することもできません。
歯を支える骨を守る「歯周ポケット検査」の重要性
定期検診では、必ず「プロービング」という検査を行います。これは、歯と歯ぐきの溝(歯周ポケット)の深さを1ミリ単位で計測するものです。この数値の変化を追うことで、現在進行形で骨が溶けていないか、炎症がどこにあるかを客観的に評価します。「現状を知ること」こそが、将来の抜歯を防ぐ最大の防波堤となります。
4. 名古屋の歯科医院で受ける内容とは
いざ歯科医院に行こうと思っても、具体的に何をするのか不安な方もいるでしょう。名古屋市内の歯科医院では、予防意識の高まりに伴い、非常に充実したメンテナンスプログラムを提供しているクリニックが増えています。ここでは、一般的な定期検診(約45分〜60分)の標準的な流れを紹介します。
精密検査:視診・レントゲン・口腔内写真での現状把握
まずは「今、あなたのお口がどうなっているか」を詳細に記録します。これは単なるチェックではなく、将来との比較のための重要な資料になります。
- ●視診と触診: 虫歯の有無だけでなく、粘膜の異常(お口の中のがん検診含む)や、筋肉の凝りなどを確認します。
- ●口腔内写真の撮影: 普段は見ることのできない歯の裏側や奥歯を写真で見せてもらうことで、患者さん自身が現状を「自分事」として理解できます。
- ●咬合診査: 詰め物の減り具合や、特定の歯にかかる過剰な負担がないかを確認し、噛み合わせのバランスを評価します。
プロフェッショナルケア:PMTCとスケーリングの違い
検診のメインディッシュは、歯科衛生士による徹底したクリーニングです。自分では絶対にできない次元の「清掃」が行われます。
- スケーリング: 超音波などを用いて、硬くなった歯石を根こそぎ弾き飛ばします。
- PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning): 専用の柔らかいゴムカップやチップ、数種類のペーストを使い分け、歯の表面をツルツルに磨き上げます。
- 着色汚れ(ステイン)除去: コーヒーや紅茶、タバコによる着色を落とし、本来の健康的な歯の輝きを取り戻します。
オーダーメイドの予防プログラム策定
検診の最後には、結果に基づいたフィードバックが行われます。「あなた専用の歯ブラシの当て方」や「おすすめの清掃用具」を提案してもらえるのが、検診を受ける最大のメリットかもしれません。生活習慣に合わせた無理のないケア方法を一緒に考えることで、次の検診までの「守り」が盤石になります。
5. 治療費を最小限に抑える経済的効果
「検診代にお金を払うのはもったいない」という声を時折耳にしますが、これは長期的な視点で見ると大きな誤解です。実は、定期検診を欠かさない人ほど、一生涯に支払う歯科治療費は圧倒的に安くなるという調査結果が出ています。
生涯医療費に数百万円の差?予防への投資リターン
抜歯をしてインプラントや入れ歯を入れることになった場合、その費用は数十万円から数百万円にのぼります。一方、数ヶ月に一度の検診費用は、数千円程度です。
- ●トラブルの未然防止: 重症化してからの治療(根管治療や被せ物)を回避することで、高額な自由診療の必要性が減ります。
- ●詰め物の寿命延長: 適切なメンテナンスにより、一度入れた詰め物や被せ物の脱落や二次虫歯を防ぎ、再治療の頻度を下げます。
- ●全身疾患の予防コスト: 前述の通り、歯周病を抑えることは糖尿病などの医療費抑制にも直結します。
「時間」の節約:通院回数を減らす究極の時短術
痛みが出てから治療を始めると、通院回数は5回、10回と重なります。仕事や家事に忙しい名古屋の皆様にとって、この時間の損失は計り知れません。
- 1回のメンテナンス vs 10回の根管治療: 検診は1回で済みますが、神経の治療は消毒のために何度も足を運ぶ必要があります。
- 予定通りの通院: 定期検診は自分の都合の良い時に予約できますが、急な痛みは仕事のスケジュールを強制的に狂わせます。
- ストレスの軽減: 「また削られる」「また高いお金がかかる」という精神的なストレスがないことも、見えない大きなコスト削減です。
仕事のパフォーマンス向上と「健康資産」の最大化
しっかり噛めることは、栄養の吸収を助け、脳の活性化にもつながります。反対に、歯の悩みがあると集中力は削がれ、笑顔にも自信が持てなくなります。定期検診によってお口を常にベストコンディションに保つことは、仕事やプライベートの質を最大化するための、最も効率的な「健康資産への投資」なのです。
経済的に得をする歯科受診の考え方
- ● 歯科医院を 「病気を治す場所」から「健康を維持する場所」 に意識を変える。
- ● 3ヶ月〜半年に一度の検診予約 を固定費(美容院代など)として予算化する。
- ● セルフケア用具(フロス等) に少々のお金をかけ、将来の抜歯リスクを最小化する。

6. 歯の寿命を延ばすメンテナンスの重要性
日本には「8020(ハチマルニイマル)運動」という、80歳になっても20本以上の自分の歯を保とうという目標があります。なぜ20本なのかというと、20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物を美味しく噛みしめることができるからです。しかし、この目標を達成するためには、加齢による自然な衰えを上回るペースで丁寧なメンテナンスを継続しなければなりません。
「歯の価値」を資産価値として再定義する
歯1本の価値を経済的に換算すると、1本あたり約100万円以上の価値があると言われています。お口の中には親知らずを除いて28本の歯がありますから、私たちは口の中に約3,000万円近い資産を抱えているのと同じです。
- ●天然歯に勝る人工物はない: インプラントや入れ歯は優れた技術ですが、自分の歯が持つ「歯根膜(噛み応えを感じるセンサー)」の機能までは再現できません。
- ●ドミノ倒し現象の阻止: 1本の歯を失うと、隣の歯が倒れ込み、噛み合わせのバランスが崩れます。これが次の抜歯を招く「負の連鎖」の始まりです。
- ●QOL(生活の質)への直結: 自分の歯で食事をすることは、脳への刺激となり、認知症予防にも寄与することが多くの研究で明らかになっています。
ライフステージに応じたリスク管理の徹底
歯の寿命を延ばすためには、年齢ごとに変化するリスクを正確に把握しておく必要があります。若年層は虫歯、中年層以降は歯周病といった具合に、対策の重点をシフトさせていくことが賢明です。
「削れば削るほど歯の寿命は縮まる」という真実
一度削った歯は、どんなに精密な詰め物をしても、元の健康な歯に比べて寿命が短くなります。これは詰め物の「寿命」があるためです。平均して10年前後で二次虫歯が発生し、再治療を繰り返すたびに削る量が増え、最終的には抜歯へと至ります。「治療をしないための検診」を徹底することこそが、究え極の延命策なのです。
次に読む:大人の矯正治療の特徴と注意点
7. 定期検診を習慣化するコツ
頭では分かっていても、忙しい毎日の中で歯科検診を優先するのは難しいものです。とはいえ、定期検診を「特別なイベント」ではなく「日常のルーチン」に組み込んでしまえば、面倒くささは驚くほど軽減されます。名古屋のビジネスパーソンの方々も実践している、習慣化のテクニックを紹介します。
「次回予約」をその場で確定させる黄金ルール
最も確実な方法は、今回の検診が終わったその瞬間に、会計窓口で3ヶ月後の予約を入れてしまうことです。予定が分からないからと後回しにすると、結局痛くなるまで行かなくなるのが人間の心理です。
- ●美容院と同じ感覚で予約する: 髪を切るのと同じように、3ヶ月に一度のリフレッシュとして手帳に書き込んでしまいましょう。
- ●キャンセル不可避な場合は即座に変更する: もし急用が入っても「キャンセル」ではなく「振替」として処理する意識が重要です。
- ●歯科医院の通知機能を活用する: 最近ではLINEやショートメールでリマインドをくれる医院が増えています。これらを活用して忘却を防ぎましょう。
検診後の「爽快感」を脳に覚え込ませる
歯科検診は「痛くて怖いもの」というイメージを書き換える必要があります。プロのクリーニングを受けた後の、あの歯の表面がツルツルになり、お口の中が軽くなったような感覚に意識を向けてみてください。
- 自分へのご褒美とセットにする: 「検診の後は美味しいランチを食べる」「好きなお店に寄る」といったポジティブな体験と結びつけます。
- 数値の変化をゲーム感覚で楽しむ: 歯周ポケットの深さや汚れの付着率が改善していく様子を数値で見せてもらい、モチベーションに繋げます。
- 家族や友人を巻き込む: 「今月検診に行った?」と声を掛け合う環境を作ることで、自然と習慣が根付きます。
定期検診を成功させる3つのコツ
- ● 手帳やスマホのアプリ に、歯科検診を「最優先の仕事」として先取り予約する。
- ● クリーニング後の お口の爽快感 をしっかり味わい、自分への褒美を設定する。
- ● お気に入りの歯科衛生士 を見つけ、担当制のクリニックを選ぶ。
関連記事:口腔機能低下症を放置するとどうなる?進行リスクと対処法
8. 歯科衛生士による正しい磨き方指導
毎日一生懸命磨いているつもりでも、実は「磨けている」人は非常に稀です。多くの人が、同じ場所を何度も磨き、肝心な汚れが溜まりやすい場所をスルーしてしまっています。歯科衛生士は、いわばお口の掃除のプロフェッショナルであり、あなたの歯並びやクセに合わせた「オーダーメイドの指導」をしてくれます。
「歯ブラシだけ」では汚れは6割しか落ちない
驚くべきことに、どんなに完璧に歯ブラシをしても、歯と歯の間の汚れは4割近く残ってしまいます。これを放置することが虫歯や歯周病の元凶です。
- ●フロスと歯間ブラシの必須性: 歯ブラシが届かない「死角」をカバーするために、補助清掃用具の使用は欠かせません。
- ●サイズ選びの重要性: 歯間ブラシのサイズを間違えると、汚れが落ちないばかりか、歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。プロによるサイジングが必要です。
- ●磨き方のアップデート: 年齢とともに歯ぐきは変化します。10年前と同じ磨き方では、今のあなたのお口を守ることはできません。
プロが伝授する「バス法」と「スクラビング法」
歯科医院では、あなたの歯肉の状態に合わせて最適な磨き方を指導します。例えば、歯周病が気になる方には、毛先を45度の角度で歯周ポケットに向ける「バス法」が推奨されます。
「染め出し」で見える自分の磨き癖
検診でよく行われる「染め出し」は、磨き残しを赤く染める検査です。これを実際に見ることで、「自分では磨いているつもりでも、実際は汚れている場所」が一目瞭然になります。この視覚的な気づきこそが、毎日のケアの質を劇的に高めるのです。歯科衛生士と一緒に鏡を見ながら練習を繰り返すことで、清掃技術は格段に上達します。

9. 全身の健康寿命との深い関わり
「お口は全身の入り口」という言葉がありますが、これは単なる比喩ではありません。最新の研究により、口腔環境の悪化、特に歯周病は、全身の様々な深刻な疾患と密接に関わっていることが科学的に証明されています。歯科検診に通うことは、心臓病や糖尿病といった命に関わる病気のリスクを管理することと同義なのです。
歯周病菌が血管を通じて全身を巡る恐怖
歯ぐきの炎症があるお口の中は、いわば「開いた傷口」がある状態です。そこから歯周病菌やその毒素が血管内に侵入し、血流に乗って全身へと運ばれます。
- ●心疾患・脳血管疾患: 血管に入り込んだ細菌が血管壁に炎症を起こし、動脈硬化を促進。心筋梗塞や脳梗塞の引き金となる可能性があります。
- ●糖尿病との悪循環: 歯周病は糖尿病の第6の合併症と言われ、歯周病が悪化すると血糖コントロールが困難になり、逆に糖尿病が悪化すると歯周病も進むという恐ろしいスパイラルを生みます。
- ●アルツハイマー型認知症: 近年の研究で、脳内から歯周病菌の毒素が検出されるなど、認知機能の低下との関連も強く示唆されています。
アンチエイジングの鍵を握る口腔機能
しっかり噛めることは、栄養を効率よく摂取するだけでなく、表情筋を鍛えて顔のたるみを防ぐ「美容効果」もあります。また、唾液には強力な殺菌作用や再石灰化作用、さらには若返りホルモンと呼ばれるパロチンが含まれています。
- オーラルフレイルの予防: 噛む・飲み込む・喋るといった機能の低下(オーラルフレイル)は、全身の衰え(フレイル)の最初の一歩です。
- 免疫力の維持: お口の中を清潔に保つことで、ウイルス感染症の重症化を防ぐ効果も期待されています。
- 精神的健康: 自分の歯で笑い、語らうことは、社会的な交流を維持し、うつ病などの予防にも寄与します。
名古屋での健康寿命を最大化するために
豊かな食文化を持つ名古屋で、生涯現役でい続けるためには、お口の健康は譲れない基盤です。「ただ長生きする」のではなく「美味しく食べて楽しく過ごす」。そのための最短ルートは、定期的なメンテナンスによって口腔内の微細な炎症をコントロールし続けることに他なりません。
口腔ケアが予防する主な全身疾患
- ● 心筋梗塞・脳梗塞:血管内のプラーク形成を抑える。
- ● 糖尿病:歯周病治療により血糖値(HbA1c)の改善が見込まれる。
- ● 誤嚥性肺炎:お口の中の細菌数を減らし、肺への侵入を防ぐ。
10. 信頼できるホームドクターの探し方
定期検診を成功させるために最も重要なのは「一生付き合える信頼できる歯科医院」を見つけることです。名古屋市内には多くの歯科医院がありますが、選ぶ基準が「家から近いから」だけでは、本当の意味での予防歯科は実現しません。
「説明の丁寧さ」は治療技術以上に重要
良い歯科医院は、すぐに治療を始めることはしません。まずは詳細な検査を行い、現在の状態と、なぜそうなったのかという原因を分かりやすく説明してくれるはずです。
- ●可視化された説明: モニターで写真やレントゲンを見せながら、専門用語を使わずに現状を伝えてくれるか。
- ●選択肢の提示: 一つの治療法を押し付けるのではなく、複数の選択肢のメリット・デメリットを丁寧に提示してくれるか。
- ●予防への熱量: 「悪くなったら来てください」ではなく「悪くならないためにこうしましょう」という姿勢があるか。
歯科衛生士の役割と質に注目する
メンテナンスの主役は、実は歯科医師ではなく歯科衛生士です。担当制の歯科衛生士がいるかどうかは、信頼できるクリニックを見分ける大きなポイントになります。
- 情報の継続性: 毎回同じ衛生士が診ることで、わずかな歯ぐきの変化や磨き方の改善具合を正確に把握できます。
- 技術力の高さ: スケーリングが丁寧で痛くないか、清掃の指導が具体的で納得できる内容かを確認しましょう。
- 良好なコミュニケーション: 悩みや質問を気軽に相談できるパートナーとしての信頼関係が築けるかが鍵です。
口コミよりも「自分の感覚」を信じる
ネットの口コミは参考にはなりますが、歯科治療には相性もあります。まずは「検診を受けたい」という動機で一度足を運び、院内の雰囲気、スタッフの対応、そして自分の質問に対して誠実に答えてくれるかを確認してみてください。「ここなら自分の大切な歯を任せられる」と確信できるホームドクターとの出会いが、あなたの将来の健康を決定づけます。
生涯の健康資産を守るための「攻めのメンテナンス」
これまで解説してきた通り、定期検診は単なるお掃除ではなく、将来的な痛み、高額な治療費、そして全身の健康リスクを回避するための極めて投資効率の高い行動です。名古屋の素晴らしい食文化を一生楽しみ続け、家族や友人との会話を心から謳歌するためには、健康な歯は何物にも代えがたい資産となります。
「痛くなってから行く」という受動的な習慣から、「将来のために今の健康を守る」という能動的な習慣へのシフトこそが、あなたの人生の質を大きく引き上げます。今日という日が、あなたにとって最も若く、最もお口の機能を維持しやすい日です。
まずは、明日からの具体的なアクションとして、以下のことから始めてみてください。
- ●最寄りの歯科医院のホームページをチェックする: 「予防歯科」や「定期検診」に力を入れているか、担当衛生士制かを確認してみましょう。
- ●今すぐ予約の電話をかける、またはWeb予約を入れる: 予定を先送りせず、自分のスケジュールに歯科検診を組み込むことが最大の第一歩です。
定期検診を継続することで、10年後、20年後のあなたが「あの時、検診に通い始めて本当によかった」と心から思える日が必ず来ます。あなたの大切な歯と健康を、プロの力も借りながら一緒に守っていきましょう。
定期検診に関するよくある質問
A. 3ヶ月〜6ヶ月に一度のペースを推奨します。
お口の中の細菌叢(バイオフィルム)が元に戻るのが約3ヶ月と言われているためです。ただし、歯周病のリスクが高い方やセルフケアが難しい方は、1〜2ヶ月ごとの短期間でのチェックが望ましい場合もあります。
A. 基本的に痛みはほとんどありませんが、炎症が強い場所はしみることもあります。
歯石が溜まっていたり歯ぐきが腫れていたりすると、多少の刺激を感じることがあります。最近では痛みの少ない超音波機器を採用している医院も多いので、不安な場合は事前に伝えておくことで配慮してもらえます。
A. いいえ、セルフケアだけでは落とせない汚れが必ず存在します。
どんなに歯磨きの達人でも、磨き残しは数%生じます。それが固まった歯石や、強固に付着したバイオフィルムは歯ブラシでは落とせません。また、初期虫歯や歯周病の進行は自分では確認できないため、プロの目による診査が不可欠です。
A. はい、多くの場合は健康保険の範囲内で受けることが可能です。
病気の有無を調べる「検診」や、歯周病治療の一環としての「歯石除去」などは保険適応となります。ただし、自費診療(自由診療)としての専門的なPMTCやホワイトニングなどを希望する場合は、全額自己負担となることがありますので、事前に確認しましょう。
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執筆者
内藤洋平
丘の上歯科醫院 院長
平成16年:愛知学院大学(歯)卒業
IDA(国際デンタルアカデミー)インプラントコース会員
OSG(大山矯正歯科)矯正コース会員
YAGレーザー研究会会員




























