親知らずはいつ抜くべき?抜歯のタイミングと判断基準を徹底解説
親知らずが生えてきたとき、「抜いたほうがいいのか、それとも様子を見るべきか」と悩んだ経験はありませんか?特に、痛みが出ていない段階では、抜歯を先延ばしにしてしまう人も多いのが現状です。しかし、親知らずの状態によっては、放置することで将来的に深刻な口腔トラブルを引き起こす可能性があります。
親知らずは、一般的に10代後半から20代にかけて生えてくる第三大臼歯で、多くの場合、顎のスペースが足りずに横向きに生えたり、一部だけ露出する「埋伏歯」となったりします。こうした異常な生え方は、周囲の歯や歯ぐきに悪影響を与えやすく、虫歯や歯周病、歯列の乱れの原因にもなります。
また、抜歯のタイミングは年齢や生活環境にも大きく左右されます。例えば、妊娠を控えている場合や歯列矯正を予定している場合などは、事前に抜歯を検討すべきケースもあります。さらに、親知らずの生え方によっては、症状が出ていなくても予防的に抜いたほうが良いこともあります。
本記事では、「親知らずはいつ抜くのがベストなのか?」「横向きに生えている親知らずは抜くべき?」「妊娠中や痛みがない場合でも抜歯は必要?」など、親知らずにまつわる疑問を徹底的に解説します。具体的な症例や医療データを交えて、後悔しない判断ができるよう、判断基準とタイミングをわかりやすく紹介します。
親知らずの抜歯には適切な時期と理由があります。この記事を読むことで、自分自身の状態に合った判断ができるようになり、将来的な口腔トラブルのリスクを減らす一助となるでしょう。
目次
1. 親知らずを抜くベストなタイミングとは?
2. 親知らずの抜歯は早いほうがいい?
3. 親知らずが横向きに生えている場合の対応
4. 親知らずが痛くなる前に抜くべき?
5. 妊娠中に親知らずを抜いても大丈夫?
6. 親知らずが生えてきたときにすべきこと
7. 痛みがなくても抜いたほうがいいケース
8. 下の親知らずと上の親知らずの抜歯の違い
9. 抜歯しないことで起こるトラブル
10. 親知らずの生え方をチェックする方法
1. 親知らずを抜くベストなタイミングとは?
親知らずの抜歯において、最も重要なのが「抜くべき時期の見極め」です。タイミングを誤ると、炎症や痛みがひどくなり、日常生活に支障をきたすこともあります。一方で、痛みや腫れが出る前に適切な判断をすれば、スムーズに処置が完了し、トラブルの予防にもつながります。では、いつ抜くのがベストなのでしょうか。
成長段階での親知らずの状態を把握する
親知らず(第三大臼歯)は、他の永久歯よりも遅れて生えてくるのが特徴です。多くの人で10代後半から20代前半にかけて萌出し始めます。この段階で歯根が完全に形成される前であれば、抜歯の難易度が下がり、術後の回復も早くなります。
実際に日本口腔外科学会によると、20代前半での抜歯が最もリスクが少ないとされており、骨が柔らかく治癒力も高い年齢であることがその理由です。
無症状でも抜歯を検討すべきケース
痛みが出ていない場合でも、以下のような状況であれば抜歯を考える必要があります。
- 親知らずが半分しか顔を出しておらず、歯肉の中に残っている(半埋伏歯)
- 隣接する第二大臼歯に圧力をかけている
- 歯列矯正を予定しており、スペースを確保したい
これらの状態では、将来的に炎症や虫歯の原因になることが多く、早めの対応が重要です。
レントゲンによる正確な診断が鍵
目視だけでは判断できないことが多いため、歯科医院ではパノラマレントゲンやCT撮影を用いて、親知らずの位置や傾き、根の形状を確認します。これにより、安全かつ計画的な抜歯が可能になります。
また、顎の骨の中に重要な神経が通っているため、その位置との関係も診断の重要なポイントです。
親知らずを抜く最適なタイミングは、本人の年齢、歯の成長段階、将来のリスクを踏まえて決まります。歯科医との綿密な相談を通じて、最もリスクが少ない時期に抜歯を行うことが、長期的な口腔の健康維持につながります。
2. 親知らずの抜歯は早いほうがいい?
「痛くなってから抜けばいい」と考える人は少なくありませんが、親知らずに関しては、早期の抜歯が推奨されるケースが非常に多いです。その理由は、炎症が起きてからでは処置が難しくなり、術後の合併症のリスクが高まるためです。ここでは、早期抜歯のメリットとリスクについて詳しく見ていきましょう。
炎症が起きる前の抜歯は回復が早い
親知らずが痛みや腫れを引き起こすのは、周囲に細菌感染が起きて炎症が生じている場合がほとんどです。この状態で抜歯を行うと、術中・術後の出血が多くなったり、治癒が遅れたりすることがあります。
一方、痛みが出る前の段階で抜歯をすれば、歯ぐきの状態も良く、術後の腫れや痛みが少なくなる傾向があります。これは、健康な状態で手術を行うことで、体への負担が軽減されるためです。
年齢が若いほど抜歯がスムーズ
年齢が上がるにつれて、歯の根が太く長くなり、骨との癒着が進むため、抜歯が難しくなることがあります。特に30代以降になると、骨密度が高くなることで、親知らずの除去にかかる時間や身体的負担が増える傾向にあります。
そのため、日本歯科保存学会では、20代での抜歯を推奨しており、将来のトラブルを未然に防ぐ手段として早期対応が有効であると報告されています。
長期的な口腔トラブルの予防にもつながる
親知らずが周囲の歯や歯ぐきに悪影響を与えるケースは少なくありません。横向きに生えた親知らずが隣の歯を圧迫すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。これが進行すると、健康な歯を失う原因にもなります。
早期の抜歯によって、こうしたリスクを排除し、全体の歯列や噛み合わせを守ることができます。歯科矯正を検討している人にとっても、スペース確保のために早めに抜くことが推奨される場合があります。
親知らずの抜歯は、症状が出る前に計画的に行うことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。決断に迷う場合は、まず歯科で検査を受け、将来的なリスクも含めて判断することが大切です。
3. 親知らずが横向きに生えている場合の対応
親知らずがまっすぐ生えずに、横向きに埋まっている状態は「水平埋伏智歯」と呼ばれ、最も抜歯が推奨されるタイプのひとつです。この状態は他の歯を圧迫しやすく、歯列に悪影響を与える可能性が高いため、歯科医師の判断では早期抜歯が進められることが一般的です。
横向きの親知らずが引き起こす問題
横向きに生えた親知らずは、隣接する第二大臼歯を押し、歯列の乱れや噛み合わせの悪化を招く原因となります。また、歯と歯のすき間に食べかすや細菌が溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが非常に高くなります。
さらに、歯ぐきが炎症を起こす「智歯周囲炎」は、腫れや痛み、口が開けづらくなるといった症状を伴い、生活の質を大きく損なうこともあります。
抜歯の方法とリスク
横向きの親知らずは、歯の一部またはすべてが骨の中に埋まっていることが多く、通常の抜歯よりも外科的な処置が必要になります。歯ぐきを切開し、骨を削って歯を分割してから取り出すという手順を踏むため、処置に要する時間や術後の腫れがやや強くなる傾向があります。
しかし、経験豊富な口腔外科医が対応すれば、合併症のリスクは抑えられ、安全に抜歯が可能です。近年では、CT撮影を活用して神経との位置関係を正確に把握したうえで計画的に抜歯を行うケースが増えています。
放置するリスクと予防の重要性
横向きの親知らずを放置した場合、見た目には何も問題がないように見えても、内部で周囲の歯にダメージを与えている可能性があります。親知らずが原因で手前の歯を失うことは決して珍しくありません。
痛みや腫れなどの症状が出ていない段階であっても、歯科医院でレントゲンを撮り、歯の傾きや骨の状態を確認することで、将来的なリスクを回避できます。
横向きに生えている親知らずは、長期的な視点で見ても抜歯を検討する価値が非常に高い状態です。安心して日常生活を送るためにも、早めの診断と対応を心がけましょう。
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4. 親知らずが痛くなる前に抜くべき?
親知らずの抜歯について「痛くなるまで待ってもいいのでは?」と考える人は少なくありません。しかし、実際には痛みが出る前に抜歯をしておくことが推奨されるケースが多く存在します。これは、痛みや炎症が起きた状態での抜歯は、手術の難易度や術後の回復に大きく影響するためです。ここでは、痛みがない段階での抜歯のメリットや必要性について詳しく解説します。
痛みが出てからでは遅いケースもある
親知らずが痛みを伴う状態になると、歯ぐきや周囲の組織に炎症が起きていることが多く、抜歯処置時にリスクが高まります。特に「智歯周囲炎」と呼ばれる炎症は、強い腫れや発熱、口の開閉困難を伴うことがあり、この状態での抜歯は避けられることもあります。
実際、炎症があると麻酔が効きにくくなったり、術後の腫れや痛みがひどくなることがあります。つまり、症状が出てから抜歯を検討するよりも、痛みがないうちに計画的に抜歯をする方が、全体の負担を抑えられるのです。
無症状でも抜歯を検討すべき状態とは
痛みがない場合でも、以下のような条件に当てはまる場合は抜歯を検討すべきとされています。
- 横向きまたは斜めに生えている
- 半分だけ顔を出しており、歯ぐきがかぶっている
- レントゲンで歯根の異常や嚢胞が見られる
- 隣の歯を圧迫している
これらのケースは、将来的に高確率でトラブルを引き起こすことが報告されており、予防的な抜歯が有効とされています。
年齢と骨の硬さも判断材料に
親知らずの抜歯が難しくなる要因のひとつに、年齢があります。30代以降になると顎の骨が硬くなり、歯根がしっかりと骨に固定されるため、抜歯が困難になります。また、回復にも時間がかかる傾向にあるため、若いうちに処置を済ませるほうが体への負担も少なくて済みます。
日本口腔外科学会の報告によれば、20代での抜歯と40代での抜歯では、術後の合併症の発生率に2倍近い差があるというデータもあり、痛みのない段階での判断が長期的な口腔健康に直結することがわかっています。
親知らずに痛みがないからといって放置するのではなく、早い段階で歯科医院に相談し、診断のうえで最適な対応を選ぶことが望ましいといえるでしょう。
5. 妊娠中に親知らずを抜いても大丈夫?
妊娠中に親知らずのトラブルが起きた場合、「抜歯してもいいのか」「麻酔は赤ちゃんに影響しないか」など、不安を感じる方は多いです。実際、妊娠中でも条件が整えば親知らずの抜歯は可能ですが、いくつかの注意点と適切なタイミングを理解しておく必要があります。ここでは、妊婦さんが安全に治療を受けるために知っておきたい情報を詳しく解説します。
妊娠中の抜歯は原則「安定期」に
妊娠中の医療処置は、母体や胎児への負担をできる限り減らすことが前提となります。そのため、抜歯を行う場合は妊娠中期(16〜27週の安定期)が推奨されています。この時期は、胎児の器官形成が落ち着き、母体の体調も安定していることが多いため、比較的安全に処置を行うことができます。
妊娠初期(〜15週)や後期(28週以降)は、ホルモンバランスや体調の変化が大きく、処置によるストレスや薬の影響がリスクになる可能性があるため、緊急時以外は避けることが推奨されます。
麻酔や薬剤の影響について
局所麻酔薬(リドカインなど)は、胎盤通過量がごくわずかであり、通常の使用量では胎児に影響を与えるリスクは低いとされています。また、抜歯後に必要となることがある抗生物質や鎮痛剤についても、妊娠中に使用可能な安全性の高い薬剤が選ばれます。
ただし、自己判断で市販薬を使用することは避け、必ず医師の処方と指示に従うことが大前提です。
妊娠中に親知らずが痛んだ場合の対処法
急な炎症や腫れが起きた場合でも、妊娠中の対応は慎重になります。基本的には抗生物質などで炎症を抑え、応急処置を行った上で、出産後に本格的な抜歯を検討するケースが多く見られます。
ただし、痛みや感染が強く、母体や胎児に悪影響を及ぼすと判断された場合には、妊娠中であっても抜歯が実施されることもあります。実際に日本産科婦人科学会のガイドラインでも、「必要な歯科処置は妊娠中であっても安全に実施可能」と記載されています。
妊娠を予定している場合の抜歯タイミング
妊娠前に親知らずの抜歯を検討することは、非常に有効な予防策です。妊娠中はホルモンの影響で歯ぐきが腫れやすく、親知らず周辺に炎症が起こりやすくなります。そのため、妊娠前に状態をチェックし、問題がある場合はあらかじめ処置を済ませておくと安心です。
妊娠中の親知らずの処置には、安全な範囲で対応できるケースも多くありますが、事前の計画と医師との連携が何よりも重要です。
6. 親知らずが生えてきたときにすべきこと
親知らずが生えてくると、痛みや違和感を感じることがあります。まだ歯ぐきの中にある段階から「ムズムズする」「奥歯が浮いた感じがする」などの変化が起こることも多く、放置しておくと炎症や歯並びの乱れにつながる可能性があります。ここでは、親知らずが生え始めた際にとるべき具体的な行動と、早期対応の重要性について解説します。
生え始めたときの症状と注意点
親知らずが生えてくるときに多く見られる症状には、軽い痛み、違和感、歯ぐきの腫れ、口が開けづらいといったものがあります。これらの症状は、生え方や顎のスペースの有無によって強さが異なります。
一部しか出てこない「半埋伏歯」の状態では、歯ぐきとのすき間に汚れがたまりやすく、細菌感染による炎症(智歯周囲炎)に発展するリスクもあります。
まずは歯科医院でのチェックが最優先
親知らずが生え始めたと感じたら、まずは歯科医院でレントゲン撮影を受け、歯の向きや根の位置、神経との距離などを確認してもらいましょう。自覚症状が軽くても、内部で問題が進行していることもあります。
特に注意すべきなのは、横向きや斜めに生えているケースです。このような場合は、痛みが出る前に抜歯を検討すべきと判断されることが少なくありません。
生えかけの親知らずのケア方法
親知らずが完全に生えていない場合、歯ブラシが届きにくく清掃が難しいため、炎症が起きやすくなります。柔らかい歯ブラシを使用し、歯ぐきの境目をやさしくマッサージするように磨くことが大切です。また、殺菌効果のあるマウスウォッシュを併用することで、細菌の繁殖を防ぎやすくなります。
親知らずが生えてくること自体は自然な現象ですが、その状態によっては早期の治療が必要になります。違和感を感じたら放置せず、早めの受診を心がけることで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
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7. 痛みがなくても抜いたほうがいいケース
親知らずに痛みがないからといって、必ずしも放置してよいとは限りません。自覚症状がないまま進行するトラブルも多く、痛みが出てからでは手遅れになることもあります。特に、レントゲンなどで明らかに問題があると診断された場合には、症状の有無にかかわらず抜歯を検討すべきです。ここでは、痛みがなくても抜歯を推奨される代表的なケースについて解説します。
隣の歯への悪影響がある場合
親知らずが隣接する第二大臼歯に押し付けられるような位置にある場合、周囲の歯に慢性的な負担をかけてしまいます。この状態では、手前の歯の根に圧力がかかり、歯根吸収や歯周病を引き起こす原因になります。
実際に、日本歯科保存学会の調査では、斜めまたは横向きに埋まっている親知らずが原因で、隣の歯を抜歯せざるを得なくなった症例が少なくないことが報告されています。親知らずのせいで健康な歯を失ってしまうのは非常にもったいないことです。
虫歯や歯周病のリスクが高い状態
親知らずは最も奥に位置しているため、歯ブラシが届きづらく、清掃が不十分になりがちです。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。特に、半分だけ歯が露出している状態や、隣の歯との隙間が狭い場合には、プラークや食べかすが蓄積しやすく、衛生管理が困難になります。
このような状態が続くと、いずれ痛みが出る可能性が高く、再治療や抜歯だけでなく、周囲の歯の健康にも影響を及ぼします。虫歯や歯周病の進行を未然に防ぐためにも、症状のない段階での予防的な抜歯は有効です。
嚢胞や炎症が見られるケース
親知らずの周囲に「嚢胞(のうほう)」と呼ばれる液体のたまった袋状の病変ができることがあります。これが顎の骨を圧迫したり、感染源となることがあるため、定期的なレントゲン検査で早期発見することが大切です。
嚢胞は初期段階では自覚症状がなく、放置すると徐々に骨を破壊していきます。CTやパノラマレントゲンによって見つかるケースが多く、歯科医師から抜歯を勧められることが一般的です。
親知らずに痛みがないからといって安心は禁物です。自覚症状のないリスクを軽視せず、早めの対応によって健康な口腔環境を保つことが大切です。
8. 下の親知らずと上の親知らずの抜歯の違い
親知らずの抜歯は、上と下とで処置の難易度や術後の影響に大きな違いがあります。これを理解しておくことで、抜歯前の心構えや適切な対応がしやすくなります。ここでは、上下の親知らずの特徴と抜歯時の違い、術後の注意点について詳しく解説します。
骨の構造と歯根の形の違い
上顎の骨は海綿質と呼ばれる柔らかい構造をしており、比較的簡単に歯が抜けやすい傾向があります。一方、下顎の骨は皮質骨と呼ばれる硬い構造であるため、歯がしっかりと固定されており、抜歯に時間と技術を要することが多くなります。
また、下の親知らずは根の形が曲がっていたり、根が2本あることもあり、歯の分割や骨の削除が必要になることがあります。
神経との位置関係の違い
特に注意が必要なのが、下顎管(かがくかん)という神経の通り道との距離です。下の親知らずは、この神経に非常に近い位置にあることが多く、抜歯の際にはしびれや麻痺のリスクが伴います。
このため、下の親知らずを抜く際は、事前にCTスキャンなどを行い、神経との距離や歯根の状態を正確に把握する必要があります。術前の画像診断が安全な処置の鍵を握っているのです。
抜歯後の腫れや痛みの傾向
一般的に、下の親知らずを抜いたあとのほうが、腫れや痛みが強く出やすいとされています。これは骨の硬さや処置の侵襲度が高いことが影響しています。術後は口が開きにくくなったり、食事がしにくくなるなどの不便も伴うため、事前にスケジュールを調整しておくことが推奨されます。
一方で、上の親知らずは比較的容易に抜けることが多く、処置時間や回復期間も短く済むケースがほとんどです。ただし、上顎洞という副鼻腔に近い位置にあるため、抜歯時に注意が必要なケースもあります。
上下で抜歯の難易度や注意点が大きく異なるため、親知らずの抜歯を検討する際は、位置や生え方だけでなく、個々の口腔環境を歯科医師と十分に確認することが重要です。
9. 抜歯しないことで起こるトラブル
親知らずを抜かずに放置することで起こりうるリスクにはさまざまなものがあります。見た目には問題がないようでも、内部では着実に口腔トラブルが進行していることもあり、痛みが出る前の対応が求められます。ここでは、親知らずを抜歯せずに放置した場合に生じる可能性のあるトラブルを整理して紹介します。
虫歯と歯周病のリスクが高まる
親知らずは最も奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなる部位です。これにより、歯と歯ぐきの隙間にプラークがたまり、虫歯や歯周病が発生しやすくなります。
特に、親知らずだけでなく隣接する第二大臼歯まで巻き込むケースが多く、健康な歯を失う原因にもなります。日本歯科保存学会では、親知らず周辺の歯周病によって、30代以降に奥歯を失うリスクが約1.5倍に高まると報告しています。
顎の腫れや炎症が繰り返される
埋伏した親知らずは、定期的に炎症を繰り返すことがあります。炎症がひどくなると、顔が腫れたり、口が開きづらくなったりすることもあり、日常生活に大きな支障をきたします。
また、炎症が慢性化すると顎骨の中で膿がたまり、「骨髄炎」といった深刻な病気に発展することもあります。これらは強い痛みを伴い、外科的な治療が必要になるため、早期の対処が重要です。
歯列の乱れや噛み合わせの悪化
親知らずが斜めや横向きに生えていると、隣の歯を圧迫し、前歯や全体の歯列を押し出す形で歯並びが乱れることがあります。これは「歯列不正」と呼ばれ、見た目の問題だけでなく、噛み合わせにも影響を与えます。
噛み合わせが悪くなると、顎関節への負担が増し、「顎関節症」につながる恐れもあります。頭痛や肩こりなどの全身症状にも関わることがあるため、口腔内のバランスを整えることが重要です。
親知らずは放置すればするほど、トラブルが複雑化しやすくなります。症状が出る前に歯科医院で適切な診断を受け、必要に応じた処置を選ぶことが、将来的な健康リスクを回避する鍵です。
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10. 親知らずの生え方をチェックする方法
親知らずの抜歯が必要かどうかを見極めるには、まずその「生え方」を正確に把握することが重要です。痛みや違和感がない場合でも、内部で他の歯や骨に影響を与えているケースもあり、見た目や感覚だけでは判断がつかないこともあります。ここでは、自宅でできるセルフチェックのポイントと、歯科医院で行われる診断の流れを紹介します。
セルフチェックの基本ポイント
日常の中で気づける変化を確認しましょう。次のような兆候がある場合、親知らずが生えてきている、または問題を起こしている可能性があります。
- 奥歯のさらに奥に歯が少しだけ出てきた
- 食べ物が挟まりやすい・清掃しにくい
- 歯ぐきが腫れやすい・出血がある
- 口の開閉がしづらい感覚がある
これらは親知らずによる初期の異常サインかもしれません。痛みがないからと放置せず、歯科での確認が大切です。
歯科医院での診断方法
正確な判断には画像診断が欠かせません。一般的には以下の方法が用いられます。
- パノラマレントゲン:顎全体を1枚で確認でき、親知らずの位置や傾きを視認可能
- 歯科用CT:神経との距離や歯根の複雑な構造を3次元的に確認可能
特に下の親知らずでは神経との接近度合いが重要で、CT診断を併用することで安全性が格段に向上します。
状態の変化を記録しておくことが大切
今すぐ抜歯が不要と診断されても、数年後に抜歯が必要になるケースは珍しくありません。半年〜1年おきに経過を観察することで、トラブルが起きる前に適切な対応が取れるようになります。妊娠、矯正、転勤など、生活の変化がある前に状態を把握しておくと安心です。
親知らずの状態を知ることは、健康維持の第一歩です。見た目では判断できないリスクが潜んでいるため、早めの確認と記録を心がけましょう。
親知らずと向き合う、未来への正しい選択
親知らずの抜歯は、単なる歯の処置ではなく、将来の口腔トラブルを防ぐための重要な判断のひとつです。痛みや症状がないからといって安心せず、「抜くべきかどうか」を正しく判断するには、専門的な診断が必要不可欠です。
本記事では、親知らずの抜歯タイミング、抜いたほうがいいケース、妊娠中の対応、生え方のチェック方法まで、実践的な情報を総合的に解説してきました。
親知らずは、放置すると虫歯や歯周病、歯列の乱れなど、他の歯にまで影響を与えるリスクがあります。また、年齢とともに抜歯の難易度や体への負担も増すため、若いうちから状態を確認し、必要に応じた対応を行うことが大切です。
すべての親知らずが必ず抜歯対象とは限りません。重要なのは、「自分の状態を知ること」と「信頼できる歯科医と相談しながら決めること」です。
後悔しないためにも、親知らずを放置せず、今できる適切な判断をすることが、健康な口腔環境を守る最善の方法となります。
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