
飲み込む力の低下と誤嚥性肺炎の関係
入れ歯の手入れと口の体操の具体的な手順
名古屋市緑区で高齢者に寄り添う歯医者の選び方
名古屋市緑区の予防歯科や高齢者の口腔ケアについて、「親が食事中によくむせる」「入れ歯の手入れが追いつかない」と悩むご家族は少なくありません。結論から言えば、毎日の口腔ケアと定期的な歯科受診を組み合わせることが、噛む力と飲み込む力を保つ土台になります。口の中を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎を防ぐ取り組みの一つとしても位置づけられています。
本記事では、入れ歯の手入れ、口の体操、唾液の促し方、通院が難しい場合の工夫まで、家庭で実践できる手順に落とし込んで整理しました。読み終えるころには、ご家族の口の状態に合わせて何から始めるかまで判断できるようになります。
飲み込む力の低下が肺炎を招く
入れ歯の手入れも立派な予防
名古屋市緑区のシニア世代に必要な口の体操
唾液を出して口の乾燥を防ぐ
通院が難しい人への予防歯科の工夫
噛む力と認知機能のつながり
名古屋市緑区で高齢者に寄り添う歯医者選び
家族ができる毎日の口腔ケア
残った歯を1本でも多く守る
食べる楽しみを最後まで支える
1. 飲み込む力の低下が肺炎を招く
飲み込む力が弱まると、口の中の細菌が唾液と一緒に気管へ入りやすくなり、誤嚥性肺炎のきっかけになります。だからこそ、飲み込みの衰えに早く気づくことと口の細菌を減らすことを同時に進める必要があります。飲み込みは、舌・頬・喉の筋肉が連動して起こる一瞬の動きです。年齢とともにこの筋肉が衰えると、唾液や食べ物が気管に入る「誤嚥」が起こりやすくなります。誤嚥は健康な人にも起こりますが、細菌の多い唾液を繰り返し吸い込むことが問題になります。
目安として、食事のたびにむせる状態が1週間以上続くなら、飲み込む力の変化を疑うきっかけになります。また、寝ている間に起こる不顕性誤嚥はむせを伴わないため、家族も気づきにくい点に注意が必要です。現場でよくあるのは、「年のせい」と様子を見るうちに食事量が落ち、体力まで低下するケースです。飲み込みの変化と口の汚れは、どちらか一方だけの対策では不十分になりがちです。まずは今日の夕食で、むせの回数と食事にかかる時間を家族で記録してみてください。
むせや声の変化は飲み込みの衰えのサイン
飲み込む力の低下は、食事中のむせ以外にも小さなサインとして表れます。食後に声がガラガラとかすれる、痰がからみやすくなるといった変化はその代表例です。錠剤が飲みにくくなった、汁物を避けるようになったという好みの変化も手がかりになります。
こうした複数のサインが重なる場合は、歯科や内科へ相談するきっかけにしてください。1つだけなら一時的な体調の変化の可能性もあるため、2週間ほど記録すると判断しやすくなります。記録はカレンダーに丸をつける程度で十分です。
口の中の細菌を減らすことが肺炎予防の土台になる
誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、歯の表面や舌の上、入れ歯にすみついています。誤嚥が起きても、口の細菌が少なければ肺へ入る細菌の量を抑えられると考えられています。そのため口腔ケアは、介護の現場でも肺炎予防の取り組みの一つとして行われています。
家庭では、就寝前の歯みがきと舌の清掃を最優先にすると取り組みやすくなります。寝ている間は唾液の量が減り、細菌が増えやすい時間帯だからです。朝の歯みがきに加えて、夜の1回を丁寧に行う習慣から始めてみてください。
2. 入れ歯の手入れも立派な予防
入れ歯は毎日外して洗わなければ細菌がすみつく場所になり、口臭や口内炎の原因になります。毎食後の水洗いと就寝前のブラシ洗浄を習慣にすることが、入れ歯を使う方にとっての予防歯科です。入れ歯の表面には細かな凹凸があり、デンチャープラークと呼ばれる汚れが付着します。この汚れは歯垢と同じく細菌のかたまりで、水で流すだけでは落ちきりません。残った汚れは、カビの一種であるカンジダ菌のすみかにもなります。
手入れの基本は「外す・こする・浸ける」の3段階で、1日1回は専用ブラシでこする工程を入れます。現場でよく見られるのは、洗浄剤に浸けるだけでブラシでこする工程を省いてしまうケースです。洗浄剤は、ブラシで汚れを落とした後に使うことで本来の働きを発揮します。歯科医師の指示がない限り、入れ歯を入れたまま眠る習慣は避けたほうが安心です。まずは今夜、入れ歯を外して専用ブラシで1分間こすることから始めてみてください。
毎日の手入れは外す・こする・浸けるの3段階
入れ歯の手入れは、食後に外して流水で洗うところから始まります。洗うときは洗面器に水を張るかタオルを敷き、落としても割れないようにします。次に入れ歯専用ブラシで、歯の部分と歯ぐきに当たる面を分けてこすります。
研磨剤を含む歯みがき粉は、入れ歯の表面を傷つけるおそれがあるため使いません。最後に洗浄剤を溶かした水に浸け、使う前に流水ですすぎます。この3段階を1セットとし、就寝前に1回行うことを基本にしてください。
残っている歯と歯ぐきの手入れも忘れない
部分入れ歯の場合、バネがかかる歯は特に汚れがたまりやすくなります。支えの歯がむし歯や歯周病になると、入れ歯そのものが合わなくなります。入れ歯を外した後は残った歯を歯ブラシで、バネがかかる部分はタフトブラシで磨きます。
総入れ歯の方も、歯ぐきや舌を柔らかいスポンジで軽くぬぐうと清潔に保てます。入れ歯は使ううちに歯ぐきの形が変わり、合わなくなることもあります。痛みや外れやすさを感じたら自分で削ったりせず、歯科医院で調整を受けてください。
| タイミング | 行うこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 毎食後 | 外して流水で洗う | 落下に備えて水を張る |
| 就寝前 | 専用ブラシでこすり洗浄剤に浸ける | 歯みがき粉は使わない |
| 毎日 | 残っている歯と歯ぐきを清掃 | バネがかかる歯を重点的に |
| 違和感があるとき | 歯科医院で調整を受ける |
自分で削らない |

3. 名古屋市緑区のシニア世代に必要な口の体操
名古屋市緑区のシニア世代に必要なのは、1日3回・食事の前に行う口の体操を生活の流れに組み込むことです。舌や頬、唇の筋肉は手足と同じように、使わなければ少しずつ衰えていきます。口の体操は、こうした筋肉を動かして噛む力と飲み込む力を保つことを目的とした取り組みです。近年は口の機能のささいな衰えをオーラルフレイルと呼び、早めの対策が呼びかけられています。滑舌の悪化や食べこぼしの増加、硬いものを避ける変化がその入り口とされています。
体操は1回あたり5分程度で、特別な道具は必要ありません。食事の前に行うと口の周りの筋肉がほぐれ、唾液も出やすくなります。よくある失敗は、最初に何種類も覚えようとして3日ほどで続かなくなるパターンです。名古屋市緑区や豊明市にお住まいの方も、まずは自宅でできる1種類から始めると続けやすくなります。今日の昼食前に、次に紹介するパタカラ体操を1回だけ試してみてください。
発音で舌と唇を鍛えるパタカラ体操
パタカラ体操は、「パ」「タ」「カ」「ラ」の4つの音をはっきり発音する体操です。「パ」は唇を閉じる力、「タ」は舌先で上あごを押す力を使います。「カ」は舌の奥を持ち上げ、「ラ」は舌を丸める力を使い、飲み込みに必要な動きと重なります。
やり方は、各音を5回ずつ区切って発音したあと、「パタカラ」と続けて5回言うだけです。声が出しにくい場合は、口の形だけをゆっくり大きく動かしても構いません。1回1分ほどで終わるため、食前の習慣として取り入れやすい体操です。
舌と頬を動かすストレッチで飲み込みを支える
発音の体操に加えて、舌を前後左右に動かすストレッチを組み合わせると口全体を動かせます。口を大きく開けて舌を前に出し、次に左右の口角へ順番につけます。続けて、頬をふくらませる動きとすぼめる動きを交互に5回ずつ繰り返します。
首や肩が固いと飲み込みにくくなるため、首をゆっくり回す動きを最初に入れるのもよい方法です。痛みやめまいを感じた場合はすぐに中止し、無理に続けないでください。体操の種類は、次の3つから選ぶと迷わずに始められます。
4. 唾液を出して口の乾燥を防ぐ
口の乾燥を防ぐには、唾液腺マッサージと水分補給を組み合わせ、唾液が出やすい状態を保つことが基本です。唾液には、食べかすを洗い流す働きや、食べ物をまとめて飲み込みやすくする働きがあります。年齢の変化や服用している薬の影響で、唾液は減りやすくなります。唾液が減ると口の中がネバつき、むし歯や歯周病、口臭が起こりやすくなります。入れ歯が歯ぐきにこすれて痛みが出る原因にもなります。
乾いた食べ物が飲み込みにくい状態が続く場合は、口の乾燥が進んでいる可能性があります。現場でよく見られるのは、夜中のトイレを気にして水分を控えすぎてしまうケースです。水分は一度に多く飲むより、コップ半分ほどをこまめにとるほうが口を潤しやすくなります。薬の見直しが必要な場合もあるため、乾燥が続くときは主治医や歯科医師に相談してください。今日から、起床時と食事の前の2回、次に紹介するマッサージを取り入れてみましょう。
3つの唾液腺を順番にほぐすマッサージ
唾液は主に、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの唾液腺から出ています。耳下腺は耳たぶの前あたりにあり、指3本で円を描くように10回押します。顎下腺は、あごの骨の内側の柔らかい部分を、耳の下からあごの先へ順に押します。
舌下腺は、あごの先の真下を両手の親指でゆっくり上へ押し上げるように刺激します。どの部位も、痛みを感じない程度の軽い力で行うのがコツです。食事の前に行うと唾液が出た状態で食べ始められ、飲み込みも楽になります。
生活の中で唾液を出す習慣をつくる
マッサージに加え、よく噛んで食べることも唾液を出すきっかけになります。ひと口ごとに30回を目安に噛むと、唾液の分泌が促されます。柔らかい食べ物に偏らず、根菜など噛みごたえのある食材を少し加える工夫も役立ちます。
会話や歌も口の周りの筋肉を動かすため、唾液が出やすくなります。エアコンの効いた部屋は口が乾きやすいため、加湿器で湿度を保つのも1つの方法です。日常の工夫は、次の3点を意識すると取り入れやすくなります。
5. 通院が難しい人への予防歯科の工夫
通院が難しい方の予防歯科は、訪問歯科診療と家族の送迎を組み合わせ、口のチェックを途切れさせないことが基本です。足腰の衰えや持病などで、歯科医院へ通えなくなる高齢者は少なくありません。通院が止まると入れ歯の不具合やむし歯の進行に気づくのが遅れ、食事量の低下につながりかねません。そこで役立つのが、歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪れる訪問歯科診療です。2026年現在、訪問歯科診療は通院が困難な方を対象に、医療保険や介護保険で受けられる場合があります。
相談先は、かかりつけの歯科医院のほか、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターです。実務でよくあるのは、「まだ歩けるから」と相談を先延ばしにし、通院が半年以上途切れるケースです。通院できる時期と訪問が必要な時期の間には、家族の送迎で通う期間があります。この期間をどう乗り切るかで、口の状態を保てるかどうかが変わります。まずは、かかりつけ医院が訪問歯科診療に対応しているかを次回の受診時に確認してください。
家族の送迎で通院を続けるための工夫
送迎で通院を続けるには、予約の取り方と移動の負担の両方を工夫します。予約は待合室が混みにくい平日の午前中などを選ぶと、本人の疲れを抑えられます。車いすや杖を使う場合は、予約時に伝えておくと入口や診療台への移動が楽になります。
車で通う場合は、駐車場の台数と入口までの距離を事前に確認しておくと安心です。たとえば名古屋市緑区桶狭間の丘の上歯科醫院は、駐車場を9台備えています。通院の日は食事や服薬の時間とずらし、体調に余裕のある時間帯を選んでください。
訪問歯科診療を利用するときの確認点
訪問歯科診療を検討するときは、対応している範囲を事前に確認します。医院によって、訪問できる地域や、治療・入れ歯調整・口腔ケアのどこまで対応するかが異なります。自宅の場合は、診療に使う場所としてベッドの周りや明るい部屋を用意すると進めやすくなります。
訪問の日には、服用中の薬の一覧や普段の食事の様子をメモにまとめておくと役立ちます。訪問を受けていても、毎日の口腔ケアは家族や介護者が担う部分が大きくなります。相談の前に、次の3点を整理しておくと話が進みやすくなります。

6. 噛む力と認知機能のつながり
噛む力と認知機能は、互いに関わり合う可能性があるとして研究が続けられています。噛むことで脳へ刺激が伝わり、食事や会話を楽しむ生活が保たれる点が理由として挙げられています。ただし、歯を守れば認知症を防げると断定できる段階ではない点は理解しておく必要があります。一方で、噛めない状態が続くと柔らかいものに偏り、栄養が偏りやすくなることは知られています。栄養の偏りや食事の楽しみの減少は、活動量の低下にもつながりかねません。
噛む力を保つには、残っている歯を守ることと合った入れ歯を使い続けることの2つが欠かせません。現場でよく見られるのは、合わない入れ歯を使わなくなり、噛まずに飲み込む食べ方が定着するケースです。この状態では噛む刺激が減るだけでなく、飲み込みの負担も大きくなります。噛む力の変化は、硬いものを避ける、食事に時間がかかるといった様子に表れます。家族は、食卓で本人が何を残しているかを1週間ほど観察してみてください。
噛むことで脳へ伝わる刺激と生活の広がり
食べ物を噛むとき、歯の根の周りにある歯根膜というクッションが噛みごたえを感じ取ります。この感覚やあごの筋肉の動きが脳へ伝わることが、噛む刺激として注目されています。しっかり噛めることで、外食や会食を楽しめるという生活の広がりも保たれます。
人と食事をする機会は、会話や外出のきっかけになり、生活のリズムを保つ支えになります。噛む力を保つことは、口の中だけでなく暮らし全体を支える取り組みです。家族で食卓を囲む日を週に1回決めるだけでも、噛む機会を増やせます。
噛む力を保つために家庭で見直したいこと
噛む力を保つには、まず食事の形態を必要以上に柔らかくしすぎないことです。噛める力が残っているのに刻み食へ早く切り替えると、噛む機会そのものが減ってしまいます。形態を変える前に、歯科医院で噛む力や入れ歯の状態を確かめてもらうと判断しやすくなります。
片側だけで噛む癖がある場合は、痛む歯や合わない入れ歯が隠れていることもあります。左右どちらでも噛めているかは、食事中の口の動きを横から見ると確認できます。見直すべき点は、次のポイントにまとめました。
噛む力を保つ3つの見直し
7. 名古屋市緑区で高齢者に寄り添う歯医者選び
名古屋市緑区で高齢者に寄り添う歯医者を選ぶなら、通いやすさと相談のしやすさの2点を最優先に比べることが基本です。高齢になると、治療の内容以上に「通い続けられるか」が口の健康を左右します。そのため、自宅からの距離や駐車場の有無、段差の少なさといった点を確認します。あわせて、痛みや不安を聞き取ってくれる説明の丁寧さも判断材料です。本人が話しにくいことを、家族が同席して伝えられるかも確かめておきたい点です。
もう1つの視点は予防歯科に取り組んでいるかで、定期検診やクリーニングの案内があるかが目安になります。よくある失敗は、家から一番近いという理由だけで選び、相談しにくさから通院が途絶えるケースです。候補を1〜2か所に絞り、実際に受診して雰囲気を比べるのも1つの方法です。初診では、本人と家族の両方が質問しやすいかを確かめてください。次の表のチェック項目を使うと、比較の視点を家族で共有しやすくなります。
通い続けられる立地と設備を確かめる
通いやすさを比べるときは、自宅からの移動手段ごとに確認します。車で送迎するなら駐車場、公共交通なら最寄り駅やバス停からの距離が判断材料です。丘の上歯科醫院は名古屋市緑区桶狭間にあり、最寄り駅は名鉄の中京競馬場前駅です。
豊明市に近い立地のため、名古屋市緑区と豊明市の両方から候補に入れやすい位置にあります。入口の段差や階段の有無は、杖や車いすを使う方には欠かせない確認点です。気になる点は予約の電話で尋ねておくと、当日の負担を減らせます。
話を聞いてくれる姿勢と予防への取り組みを見る
高齢の方にとって、不安や希望を言葉にできる環境は治療を続けるうえで欠かせません。初診時に、今の困りごとや治療の希望をじっくり聞く時間があるかを確認します。模型や写真を使い、本人にもわかる言葉で説明してくれるかも判断材料です。
丘の上歯科醫院もカウンセリングとコミュニケーションを重視する方針を掲げ、予防歯科を診療科目に含めています。治療後に定期検診の間隔を提案してくれるかも、予防への姿勢を見るポイントです。家族が同席できるかは、予約時に一言確認しておくと安心です。
| チェック項目 | 確認する内容 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 通いやすさ | 自宅からの距離・駐車場・最寄り駅 | 地図と医院の案内で確認 |
| バリアフリー | 入口の段差・車いすでの移動 | 予約の電話で質問 |
| 説明の丁寧さ | 本人にわかる言葉での説明 | 初診時の対応で判断 |
| 予防への取り組み | 定期検診・クリーニングの案内 | 治療後の提案で確認 |
| 家族の同席 | 診療時の付き添いの可否 |
予約時に確認 |
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8. 家族ができる毎日の口腔ケア
家族ができる毎日の口腔ケアは、できない部分だけを手伝うことを基本にし、本人ができることは任せます。すべてを家族が代わりに行うと、本人の手や口を動かす機会が減り、機能の低下を早めかねません。一方で、磨き残しが多い部分だけ家族が仕上げ磨きをすると、口の中を清潔に保てます。高齢者の磨き残しは、奥歯の外側や歯と歯ぐきの境目に集中しやすい傾向があります。手の力が弱い方には、柄の太い歯ブラシや電動歯ブラシも役立ちます。
家族の仕上げ磨きは、1日1回・就寝前に行うだけでも口の状態を保ちやすくなります。現場でよくある失敗は、口を無理に開けさせようとして、ケアそのものを嫌がられてしまうケースです。口腔ケアは毎日続くため、本人が嫌がらない方法を探すことが長続きのコツです。口の中は明るい場所で見て、歯ぐきの腫れや出血、口内炎の有無もあわせて確かめます。今夜の歯みがきから、本人が磨いた後に家族が奥歯だけを確認する流れを試してみてください。
嫌がられない仕上げ磨きの進め方
仕上げ磨きを受け入れてもらうには、始める前の声かけを欠かさないことです。「これから奥歯を磨きますね」と先に伝えるだけで、本人の緊張がやわらぎます。本人が椅子に座り、家族が斜め後ろから支える姿勢をとると口の中が見やすくなります。
歯ブラシは軽い力で小刻みに動かし、1か所につき10回程度を目安に磨きます。疲れた様子があれば休憩をはさみ、1回で完璧に仕上げようとしないでください。終わった後に「きれいになりましたね」と声をかけると、次回も受け入れてもらいやすくなります。
舌と粘膜のケアで口臭と細菌を減らす
歯みがきに加えて、舌の表面につく白い汚れである舌苔の清掃も取り入れます。舌苔は細菌のかたまりで、口臭や誤嚥性肺炎の原因菌のすみかにもなります。清掃には舌ブラシを使い、舌の奥から手前へ軽くなでるように動かします。
強くこすると舌を傷つけるため、1日1回・数回なでる程度にとどめます。頬の内側や上あごは、湿らせたスポンジブラシでぬぐうと汚れを取りやすくなります。家族が担う毎日のケアは、次の3つを柱にすると迷いません。

9. 残った歯を1本でも多く守る
残った歯を1本でも多く守るには、定期検診と毎日のセルフケアを組み合わせ、歯周病とむし歯を早い段階で見つけることが基本です。厚生労働省と日本歯科医師会は、80歳で自分の歯を20本以上保つ8020運動を進めています。自分の歯が多く残っていれば硬いものも噛みやすく、食事の選択肢も広がります。高齢者が歯を失う主な原因の一つは、自覚症状が少ないまま進む歯周病です。歯ぐきが下がって露出した歯の根元には、根面う蝕というむし歯もできやすくなります。
定期検診は3〜6か月に1回程度を目安に、口の状態に合わせて歯科医院と相談して決めるのが一般的です。実務でよくあるのは、痛みがないからと検診を先延ばしにし、抜歯が必要な状態で見つかるケースです。歯周病は、出血や歯のぐらつきが出るころには進んでいることがあります。残っている歯の状態を把握しておくと、入れ歯やブリッジの計画も立てやすくなります。まずは最後に歯科検診を受けた日を確認し、半年以上空いていれば予約を入れてください。
歯周病と根元のむし歯を早く見つける
歯周病の初期サインは、歯みがき時の出血や歯ぐきの腫れ、朝の口のネバつきです。歯の根元のむし歯は、黒や茶色に変色した部分として見えることがあります。ただし、どちらも初期は痛みがほとんどなく、自分で気づくのは難しいのが実情です。
歯科医院の検診では歯周ポケットの深さを測り、見た目ではわからない変化を確認します。検診で見つかった段階なら、処置の負担が小さく済む場合もあります。出血やネバつきに気づいたら、次の検診を待たずに相談してください。
歯を守るセルフケアの道具を見直す
残った歯を守るには、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスを組み合わせることが基本です。歯と歯の間は毛先が届きにくく、磨き残しがたまりやすい場所です。また、フッ素入りの歯みがき粉は歯の根元のむし歯予防にも使われています。
歯間ブラシは隙間に合うサイズを選ぶ必要があるため、検診時に歯科衛生士へ確認すると安心です。道具が多すぎると続かないため、自分に合う組み合わせに絞ることが続けるコツです。見直しの際は、次の3つの道具を軸に考えると選びやすくなります。
10. 食べる楽しみを最後まで支える
食べる楽しみを最後まで支えるには、口の状態に合わせて食事の形を工夫し、好きなものを味わえる機会を残すことを目指します。食事は栄養をとる手段であると同時に、季節や家族とのつながりを感じる時間でもあります。口の機能が衰えても、形や固さを工夫すれば好きな料理を楽しめる場合があります。そのためには、噛む力と飲み込む力の状態を正しく知ることが出発点になります。歯科医院では、噛み合わせや入れ歯の状態から、食べられる固さを一緒に考えられます。
飲み込みに不安がある場合は、とろみをつける、ひと口を小さくするといった工夫で食べられる料理の幅が広がります。よくある失敗は、むせを恐れるあまり好きな料理をすべて避けてしまうケースです。食べる楽しみが減ると食欲も落ち、体力の低下につながるおそれがあります。食事の工夫は、本人の好みを聞きながら少しずつ試すことが長続きのコツです。次の食事では、本人の好きな料理を1品だけ、食べやすい形にして出してみてください。
食べやすさを工夫して好きな料理を残す
食べやすくする工夫の基本は、大きさ・固さ・まとまりやすさの3点を調整することです。肉は薄切りにして繊維を断つように切り、野菜は柔らかく煮ると噛みやすくなります。パサつく食べ物は、あんかけやソースでまとまりやすくすると飲み込みやすくなります。
飲み物でむせる場合は、市販のとろみ剤で適度なとろみをつける方法があります。とろみの濃さは人によって合う程度が異なるため、歯科医師などの専門職に確認すると安心です。見た目や香りも食欲を左右するため、盛り付けの工夫も忘れないでください。
食事の姿勢と環境を整える
食べる楽しみを支えるには、料理だけでなく食事の姿勢も整える必要があります。椅子に深く座って足の裏を床につけ、あごを軽く引いた姿勢をとると飲み込みやすくなります。テレビを消して食事に集中できる環境をつくることも、むせの予防につながります。
食後すぐに横になると逆流による誤嚥が起きやすいため、30分ほどは座った姿勢を保ちます。家族が会話を楽しみながら見守ると、本人の食欲も保ちやすくなります。食事の工夫は、次の3点を意識すると取り組みやすくなります。
食べる楽しみを支える3つの工夫
噛める口を保つために今日から始めること
高齢者の口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防、噛む力の維持、食べる楽しみの継続を支える取り組みです。入れ歯の手入れや口の体操など家庭でできることと、定期検診による予防歯科を組み合わせましょう。名古屋市緑区でかかりつけを探す際は、通いやすさと相談のしやすさを基準に比べてください。
高齢者の口腔ケアと予防歯科に関するよくある質問
入れ歯は夜も外したほうがよいですか?
A. 歯科医師の指示がない限り、就寝前に外すのが基本です。
外した入れ歯は専用ブラシで洗い、洗浄剤に浸けて保管します。歯ぐきを休ませ、口の中の細菌を減らすことにつながります。
口の体操はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
A. 1日3回、食事の前に行うのが目安です。
パタカラ体操なら1回1分ほどで終わります。まずは1種類から始め、慣れてきたら舌のストレッチなどを加えてください。
通院が難しくなった場合、歯科の相談はどこにすればよいですか?
A. かかりつけの歯科医院やケアマネジャーに相談します。
訪問歯科診療の対応状況は医院ごとに異なります。地域包括支援センターでも介護に関する相談を受け付けています。
定期検診はどのくらいの間隔で受ければよいですか?
A. 3〜6か月に1回程度を目安に、歯科医院と相談して決めます。
適した間隔は口の状態によって異なります。歯ぐきの出血などに気づいた場合は、検診を待たずに受診してください。
付随記事:お子様の歯を守る!小児の定期検診が大切な3つの理由

執筆者
内藤洋平
丘の上歯科醫院 院長
平成16年:愛知学院大学(歯)卒業
IDA(国際デンタルアカデミー)インプラントコース会員
OSG(大山矯正歯科)矯正コース会員
YAGレーザー研究会会員

























